便秘に効く“腸習慣”ですっきり体質になる!

便秘に効く“腸習慣”ですっきり体質になる!

食事や運動量が同じでもスリムな体型を維持できる「すっきり体質」の人と、太ってしまう「ぽっちゃり体質」の人がいます。実はその違いには、腸が深く関係しています。便秘を改善して腸の働きを整えることが、すっきり体質になる近道です!

監修プロフィール
順天堂大学医学部 教授 こばやし・ひろゆき 小林 弘幸 先生

1987年順天堂大学医学部卒業。同大学大学院医学研究科(小児外科)修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などに勤務後、順天堂大学医学部小児外科学講師・助教授などを歴任し、現在に至る。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者であり、多くのアスリートの指導にかかわっている。また順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した‟腸のスペシャリスト“としても活躍。著書に『一流の人をつくる 整える習慣』『自律神経を整える「あきらめる」健康法』(KADOKAWA)、『自律神経が整う時間コントロール術』(小学館)、『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(アスコム)、『小林弘幸式2週間プログラム 朝だけ腸活ダイエット』(ワニブックス)など多数。YouTubeチャンネル「ドクター小林の健康塾」で健康情報を発信している。

Q1 便秘の人が太りやすいのはなぜ?

A1 栄養が細胞に届きにくく代謝が悪くなるためです。

私たちが食べた物の栄養分はまず小腸が消化吸収し、その後の残りカスは大腸が便につくり替えて排出します。この一連の働きは腸管が収縮するぜん動運動によって行われ、スムーズに進むことで栄養たっぷりの血液が全身の細胞に届き、食べた物が活動エネルギーとして活かされるのです。
しかし、生活習慣やストレスによる※1自律神経の乱れなどでぜん動運動が停滞すると、栄養の消化吸収が落ちて血液の質が低下。便の排出もうまくいかず、腸内の老廃物などを含んだドロドロ血液が全身を巡ってしまいます。こうした血液は細胞に入り込めず、どんどん脂肪に蓄えられていくため、※2便秘になると代謝が落ち、太りやすくなってしまうのです。また、血流も悪くなるので、冷えや肩こり、肌荒れなどの原因になります。
「やせたい!」と思うとつい食事制限に走りがちですが、たとえ減量に成功したとしても、それは一時的で長続きしません。健康的なすっきり体質に変わるためには、便秘を防ぎ、栄養たっぷりの血液を細胞に届けると共に余分なものを排出するという、腸のスムーズな働きを保つことがカギと心得ましょう。

※1.POINT ぜん動運動と自律神経の関係

ぜん動運動は自律神経(副交感神経と交感神経)によってコントロールされています。リラックス時に高まる副交感神経によってぜん動運動は活発になり、緊張やストレスを感じると交感神経が高まり動きは停滞します。腸がストレスに弱い臓器といわれるのはこのためです。

※2.POINT 便秘の目安は?

症状は人それぞれなので、排便日数や便の状態よりも自覚症状を重視して判断を。残便感、お腹の張りなど不快感があれば便秘といえます。

Let'stryあなたの便秘タイプをチェック

Q2 私の便秘タイプとその対策は・・・?

A2 原因を把握して、それに応じたケアを。

私の便秘タイプとその対策は

便秘のタイプは原因によって大きく3つに分けられます。便秘改善の基本は食事、ストレッチ、副交感神経を高める工夫の3つ(Q3・4・5)。これらを心がけながら、自分の便秘タイプに合わせたケアを重点的に取り入れましょう。
また、自律神経が乱れやすい更年期世代や、加齢によって腸の機能低下や腸内環境の悪化が進む高齢者で便秘の人が増える傾向に。40歳以上になったら意識して腸の働きを整える生活習慣を身につけましょう。

Q3 腸のぜん動運動を活発にする食事のコツは?

A3 善玉菌が喜ぶ〝置き換え〟食事を試してみましょう。

腸内には大きく分けて善玉菌、悪玉菌、日和見(ひよりみ)菌と呼ばれる腸内細菌が多数います。中でも善玉菌が活性化すると日和見菌が加勢して腸内環境が良好に。ぜん動運動が活発になって便秘改善につながります。日頃の食事では善玉菌を増やすのに役立つ発酵食品と、善玉菌のエサとなる食物繊維を多く含む野菜や果物、きのこ類、海藻類を積極的にいただきましょう。
毎日は負担が大きいという人は、食事の〝置き換え〟がおすすめです。ほんの少しの工夫で、効率よく摂ることができます。
また硬い便に困っている人はオクラやもずく、なめこ、山芋などのヌルヌル食材を多めに摂りましょう。水溶性食物繊維が多く含まれているため、便を軟らかくするのに有効です。

置き換え食事(例)

Q4 「排便力」を高めるには?

A4 ひねるストレッチが効果的です。

「排便力」を高めるためには、腸や肛門括約筋をひねったり、腹筋を鍛えたりするストレッチが有効です。トイレでのいきみ過ぎは体に負担がかかるのでNG。もう一押しという時はお腹をねじる「考える人ポーズ」がおすすめです。
ストレッチは無理せず、リラックスして行うのがコツ。副交感神経の働きが高まり、スムーズな排便につながります。

ひねるストレッチ

Q5 副交感神経の働きを高めるにはどうしたらよい?

A5 「4・8呼吸」が簡単でおすすめです。

イライラや緊張、ストレスを感じた時は、4秒息を吸って8秒かけて吐き出す深呼吸がおすすめです。呼吸を意識することで自律神経を整えることができます。特に息を吐き出す時に副交感神経が高まるので、吐く時間を長くするのがポイントです。
また、夜は副交感神経が高まり、腸が最も活発になる時間帯です。翌朝のスムーズな排便につなげるためにも、夜はリラックスを心がけて。夕食は就寝3時間前までに済ませ、夜0時までに寝ることを習慣にしましょう。

Q6 これだけは押さえたい!腸に効く生活習慣のポイントは?

A6 「朝の過ごし方」が快適なお通じの決め手に。

腸は私たちの睡眠中に活発に動いて便をつくり、朝の排便に備えます。1日のスタートとなる朝は便秘を改善する重要なタイミング。朝の生活リズムを一定にすることで、腸本来の働きを取り戻しやすくなります。
そこで、ぜひ習慣にして欲しいのが次の4つ。ただ、義務感をもつとストレスになってしまうので、〝できる範囲でゆるく〟の意識で取り組みましょう。これが長続きさせるコツです。

腸に効く朝の習慣

Q7 どうしても便秘が改善しない!市販薬を使ってもいい?

A7 排便のきっかけに活用するのも一案です。

生活習慣を見直しても便秘が改善しない場合は、市販の便秘薬を活用するのも一案です。便秘薬にはぜん動運動を促すタイプや腸に水分を集めて便を軟らかくするタイプなどがあります。自分の症状に合わせて便秘薬を選択しましょう。
ただし、常用するのは禁物。薬に頼り過ぎると自力で出せなくなったり、便秘に隠れている大腸の病気を見逃してしまったりする可能性があるので、用法・用量を守り、あくまでも排便のきっかけとして活用を。その後、徐々に整腸剤に切り替え、腸内環境を整えていくようにしましょう。


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