特集 もう悩まない!アレルギー対策 特集 もう悩まない!アレルギー対策

今、アレルギーで悩む人が増えています。日本では、2人に1人がなんらかのアレルギーがあるといわれており、もはや「国民病」ともいえる疾患です。あなたの身近な人も、アレルギーで悩んでいませんか?まずはどうしてアレルギーになるのかをしっかり理解した上で、アレルギーにどのように対処していくかを学んでいきましょう。

アレルギーがこんなにも増えたのはナゼ?

現代の暮らしとは切り離せないアレルギー疾患

先進国では、アレルギー疾患発生率が1970年代くらいから急増しました。この疾患は、本来ウイルスなどの異物を攻撃して排除する免疫機能が、花粉やホコリなど危険性が低い異物にも反応してしまうことで起きるもの。急増の背景にはライフスタイルの変化があるとされます。

 ひと昔前、衛生環境が整っていない頃は、異物に接する機会が多いことからウイルスや細菌の攻撃に関わる免疫細胞が多く必要で、アレルギーが起こりにくい傾向にありました。対して今は、清潔な暮らしが基本。衛生環境が整い過ぎたことで免疫細胞のバランスが変化し、アレルギーが増えたと考えられています(衛生仮説)。若い世代ほどアレルギー体質が増えているのは、こうした理由によるのです(下グラフ参照)。

年代別に見たアレルギーの陽性率
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アレルギーは「なくすもの」ではなく「適切に対処していくもの」

悩ましい症状を引き起こすアレルギーですが、もともとは体を守るための免疫機能が働いてのこと。衛生環境などの社会の成長と強く結びついているからこそ、完全になくすのは難しいのが現状です。「昔の環境に戻ろう」というメッセージは美しく、確かにアレルギー疾患は減るかもしれませんが、不衛生な環境下では乳児死亡率は上がり、感染症が増えてしまうでしょう。高度に発展した現代には最新の治療法と効果的な薬があります。「放置しない」「悪化させない」を合言葉に、適切なケア&治療法を見つけて、健やかな毎日を送ってください。

斎藤博久先生

斎藤博久先生

さいとう・ひろひさ 国立相模原病院小児科医長などを経て、現在、国立成育医療研究センター研究所長補佐、大森こどもハートアレルギークリニック院長。日本アレルギー学会理事長などを務めた。