「フレイル(虚弱)」とは「健常」と「要介護」の間にある、介護が必要になる手前の段階のこと。心身が衰えて弱った状態ですが、適切な心がけで心身をケアすれば機能の維持や改善が可能で、要介護になることを防げます。早い段階でフレイルに気づくためにも、普段の生活を振り返ってセルフチェックしてみましょう。
医学博士。日本老年学会理事長、日本老年医学会副理事長、日本サルコペニア・フレイル学会代表理事他を務める。専門領域は、老年医学一般、フレイル、サルコペニア、脂質代謝異常。1991年京都大学医学部大学院医学研究科博士課程修了。91年京都大学医学部老年科助手、93~97年米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校研究員。2009年、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻教授。15年、国立長寿医療研究センター副院長を経て、19年より現職。
一般的な寿命を表す「平均寿命」に対して、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を「健康寿命」といいます。2019年の時点で、男性は平均寿命が81.41年なのに対して、健康寿命は72.68年。女性は平均寿命87.45年に対して、健康寿命は75.38年です※。つまり、介護を必要とする期間が男性は平均で8.73年間、女性は平均で12.07年間もあるのです。
※出典:厚生労働省 資料「健康寿命の令和元年値について」
人はゆっくりと坂道を下るように老いていき、やがては介護が必要な状態になります。これは生物学的に避けられない変化ではありますが、この“老いの坂道”を下る速度をなるべく遅くして、いつまでも自立して元気に過ごすためにも、「健常」と「要介護」の間にある「フレイル」の段階に着目してケアをすることが大切です。
フレイルに気づいた時点で、あるいはフレイルにならないように心身に適切な手入れを続ければ、十分に自立した状態を保てることから、厚生労働省では2020年から、75歳以上を対象にした後期高齢者健診で、フレイルのリスクをチェックする15問の「後期高齢者の質問票」を導入しています。
これはフレイルを早期に発見し、改善や予防のための支援に役立てるためのものですが、後期高齢者でなくても、フレイルが気になった人がセルフチェックをするのにも有効な質問です。そこで、これを元に「フレイル注意度チェック」として掲載しました。ぜひセルフチェックしてみましょう。
日々の生活を振り返り、当てはまる答えをチェックしてください。
あなたのフレイル注意度をチェックします。
※出典:厚生労働省「後期高齢者の質問票」より作成