痛風は、尿酸という物質が血液中に異常に増え、関節などにたまって炎症を引き起こす病気です。食生活を含めた生活習慣が変化したことによって特に最近50年間で増加しており、2019年の国民生活基礎調査からは推定患者数が125万人以上、予備軍を含めると1000万人以上と考えられています。いったん痛風になると、長期にわたる治療が必要なうえ、さまざまな合併症を引き起こす危険もあるので、予防を心がけることが何よりも大切です。あなたは、痛風の危険を招く生活を送っていないでしょうか? さっそく、チェックしてみましょう。
1983年、三重大学医学部卒業後、東京女子医科大学附属リウマチ痛風センター助手、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校研究員、東京女子医科大学膠原病リウマチ内科教授などを経て現職。一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会理事、日本リウマチ学会指導医・リウマチ専門医、日本脊椎関節炎学会理事。著書に『完全図解 痛風・高尿酸血症のすべて』『尿酸値にホントにいいこと帳』(ともに主婦の友社)など。
尿酸は、プリン体と呼ばれる成分が分解されてできる一種の老廃物で、おもに腎臓から尿といっしょに排泄されます。ところが、体内で過剰に尿酸がつくられたり、うまく排泄されなくなったりすると、血液中の尿酸が異常に増え、「高尿酸血症」を引き起こします。痛風発作は、増え過ぎた尿酸が結晶化し、関節にたまって急性関節炎を起こした状態を指します。痛風の「風」は、「病」という意味であり、従って痛風は「痛い病気」と解釈されます。それほどまでに「痛み」が特徴的な病気ということ。激痛が足の親指の付け根の関節などに起こります。痛風の痛みは通常は14日以内で徐々に治まりますが、放置すると半年~1年後には再発します。そのままだと、痛風発作の頻度が増え、痛みのある時期も長くなります。もともと高尿酸血症はメタボリックシンドロームや腎機能障害、糖尿病などと関係があるとされています。そのため痛風にもメタボリックシンドロームが多く、また、適切に治療されない場合は腎機能の低下も起こりやすいことがわかっています。高血圧や脂質異常症も合併しやすく、これらは心臓や脳血管障害につながります。痛風は、高エネルギーの食、プリン体の過剰摂取をはじめ、生活習慣と深いかかわりのある典型的な生活習慣病の1つです。それだけに、日ごろの生活の改善で予防がしやすい病気ともいえます。痛風患者の95%以上は男性で、とくに30~50代に集中していますが、20代にも高齢者にも珍しくありません。男性は20歳以降の全ての年齢で注意が必要です。
日々の生活を振り返り、以下の質問にお答えください。あなたの痛風危険度を診断します。