かぜに続いて起こりやすい中耳炎は、2歳未満の子どもが最もよくかかる耳の疾患の1つ。でも、何度も繰り返したりなかなか治りにくかったりすると、つい心配になってしまいますね。小学校低学年くらいまでの子どもを持つ方は、このチェックを家庭でのケアに役立ててください。
医学博士。80年愛媛大学医学部附属病院、愛媛県立中央病院、89年米国スタンフォード大学研究員、92年愛媛大学医学部耳鼻咽喉科講師、98年より名古屋市立大学大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学教授、2012年より同大学学長補佐、14年より名古屋市立大学病院副病院長を経て、18年より東部医療センター病院長、21年より現職
耳は、耳介(じかい:外に出ている部分)から鼓膜までの「外耳(がいじ)」と、鼓膜(こまく)から耳小骨(じしょうこつ:つち骨、きぬた骨、あぶみ骨)までの「中耳(ちゅうじ)」、そして、蝸牛(かぎゅう:聴力を司る器官)や三半規管(めまい・平衡にかかわる器官)などの「内耳(ないじ)」の3つの部分からできています。そして、中耳は「耳管(じかん)」という管で鼻の奥とつながっており、鼓膜が振動しやすいように中耳と外気の圧を調節しています。
中耳炎は、中耳に炎症が生じて膿(うみ)が溜まり、痛みや発熱を伴う病気ですが、その原因はかぜをひいて鼻やのどに感染したウイルスや細菌が耳管を通って中耳に侵入することで生じます。耳に水が入って中耳炎を起こすと俗に言われていますが、これは誤りです。そして、子どもが中耳炎になりやすいのは、耳管が広く、傾きが緩やかで、ウイルスや細菌が中耳に侵入しやすいことや、免疫力が十分でないことなどが理由です。
「急性中耳炎」では耳の痛みや微熱が一般的ですが、通常は抗菌薬を服用すれば1~2週間で治るので、あまり心配はありません。ただし、きちんと治さないと鼓膜の癒着や鼓膜に穴があく「滲出(しんしゅつ)性中耳炎」や「慢性中耳炎」といった難聴を引き起こす中耳炎に進んでしまうケースもあるので、自己判断で治療をやめないことが大切です。
日ごろから子どもの様子をよく観察し、心配なことがあれば、耳鼻咽喉科の医師に相談してください。
お子さんについて、当てはまる答えをチェックしてください。子どもの中耳炎危険度をチェックします。