「腕を動かすと、肩に痛みが走る」「痛くて腕が上がらない」…中年以降の人でこんな症状がみられた場合、まず疑われるのが四十肩・五十肩です。四十肩・五十肩は、ほとんどの場合、これといった原因もなく発症し、特別な治療を行わなくても半年~1年ほどで自然に治りますが、その間、激しい痛みや腕の運動が著しく制限されることで、日常生活に支障をきたすことが少なくありません。
肩は私たちが日ごろよく使う部分だけに、障害が起こりやすいものです。肩の状態をチェックして、健康維持に役立てましょう。
1947年生まれ。東京大学医学部卒業 1997年より聖路加国際病院整形外科部長となる。2012年より林外科病院整形外科部長。専門は関節外科、スポーツ医学、ひざ関節と関節鏡による手術など。
四十肩・五十肩は肩関節の周りに起こる炎症で、正式には「肩関節周囲炎」といいます。40~50代の人に多く発症し、激しい肩の痛みが生じ、痛みのために腕を動かせる範囲が限られてくるのが特徴です。原因はよくわかっていませんが、肩関節周囲のいろいろな組織が変性したり、微細な損傷を受けたり、炎症を起こしたりすることが基になっていると考えられます。
四十肩・五十肩は一般に、急性期には痛みが激しく、ひどい場合は夜も眠れなくなるほどですが、炎症は徐々に治まり、運動制限を主症状とする慢性期を経て、半年~1年で回復に向かいます。しかし、自然に治るからと適切なケアを行わないでいると、肩関節が固まったまま動かなくなることもあります。急性期には安静を保つことが大切ですが、急性期が過ぎたら、可能な範囲で肩を積極的に動かす方が回復が早く、癒着による後遺症も防ぐことができます。
肩関節は、誰でも年齢とともに徐々に可動域(動かせる範囲)が狭くなるものです。日ごろから運動を習慣にし、肩をコンスタントに適度に使うようこころがけましょう。
日々の生活を振り返り、当てはまる答えをチェックしてください。
あなたの四十肩・五十肩をチェックします。