生薬のカンゾウ(甘草)の根に含まれるグリチルリチン酸にカリウム塩を加えて、水に溶けやすくした成分です。
優れた抗炎症作用を持ちながら刺激が少ないのが特徴で、腫れや痛みを緩和する目的で総合感冒薬(かぜ薬)や鼻炎用薬、点眼薬、トローチなど様々な薬に配合されています。また、スキンケア用品、シャンプー、育毛剤、歯みがきなどの有効成分としても幅広く利用されています。
長期の使用や大量使用により、偽アルドステロン症(浮腫、高血圧、低カリウム血症など)、ミオパチー(四肢の脱力、けいれんなど)を起こす可能性があります。定められた量を守って使用してください。
高血圧、心臓病、腎臓病の人、妊婦または授乳中の人は、使用前に医師または薬剤師に相談してください。
主な副作用として、発疹、発赤、かゆみ、吐き気・嘔吐、食欲不振、腫れ、刺激感などが報告されています。こうした症状に気づいたら、医師または薬剤師に相談してください。
グリチルリチン酸二カリウムの原料となるカンゾウ(甘草)は、マメ科カンゾウ属の多年草で、古くから世界中で薬として利用されてきました。日本には遣唐使によって伝えられ、奈良の正倉院には当時のものが大切に保管されています。
漢方の生薬ではウラル甘草とスペイン甘草が使われていますが、このうちスペイン甘草は「リコリス」としてハーブでも人気です。「甘い草」という名の通り、根の主成分であるグリチルリチン酸には、砂糖の100倍とも200倍ともいわれる強い甘味があります。ごく少量でも甘味料として役立つことから、根から抽出されたエキスは日本では味噌、醤油、佃煮などに、欧米ではキャンデー、ドリンク、リキュールなどに添加物としてよく使われています。
カンゾウには抗酸化作用を持つフラボノイドも豊富に含まれ、とても魅力的な生薬ですが、サプリメントなどで大量に摂るのは避けたほうが無難。特に妊娠中の人は、早産につながる可能性もあることが一部の研究で示唆されているので注意してください。