
加藤啓一 先生
日本赤十字社医療センター 副院長・麻酔科部長
救急用品をそろえておく
いつ起こるか分からないけがに備えて、救急用品をそろえておきましょう
【傷の手当用品】
ピンセット、滅菌ガーゼ、絆創膏、毛抜き、綿棒、かゆみ止め薬、ビニール手袋
【固定用品】
包帯、固定用テープ
【冷却用品】
氷のう、氷枕、保冷剤など

救急車の呼び方を知っておく
119番通報をしたら、指令員からの次の質問に対して順番に、あわてず、ゆっくり答えます。応急手当が必要な場合は、消防本部からの指示に従って行います。
- 1.火事ですか? 救急ですか?
- 2.住所はどこですか?
- 3.どうしましたか?
- 4.おいくつの方ですか?
- 5.あなたの名前と連絡先を教えてください。
※人手がある場合は、救急車が来そうなところまで案内に出ると到着がスムーズ。

緊急連絡先を書いて貼っておく
かかりつけ医や救急病院、救急車を呼ぶかどうか迷った場合の救急電話相談などの電話番号を書いて、目立つところに貼っておきましょう。



応急手当講習を受けておく
応急手当などを学べる一般向けの講習会が、各消防署や日本赤十字社、医療機関などで行われています。実際に経験しておくことが「いざ」という時の冷静で適切な対応につながります。


出血
3〜5分傷口を圧迫すると出血は止まります。

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直接圧迫法
傷口にガーゼあるいはハンカチなどを当て、3分以上強く押さえる。血液に触れないようビニール袋などを着用する。
傷口を心臓より高く上げると出血が止まりやすい。
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包帯を巻く
ある程度出血が治まったら、包帯などがあれば巻いて、ガーゼを固定する。

やけど
できるだけ早く冷やすことが大切です。

服の上からシャワーなどで水をかけて冷やすが、10分以内にとどめる。
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すぐに水で冷やす
10分以上を目安に、痛みがひくまで流水で冷やす。
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水疱は
つぶさない水ぶくれは傷口を保護する効果があるので、つぶさずにガーゼで保護して受診する。

のどに詰まった

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強い咳をさせる
呼吸ができる場合は、咳をすると自然と排出されることがあるので、咳を続けさせる。
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手のひらの付け根で
肩甲骨の間を強く叩く咳をしても異物が取れない場合は、傷病者を前かがみにして背中を叩く。
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背中から抱えてお腹を突き上げる
傷病者の背後からウエスト付近に両腕を回す。一方の手でヘソの位置を確認し、もう一方の手で握りこぶしをつくり、親指側を傷病者のヘソのすぐ上(みぞおちより十分下)に当てる(A)。
ヘソを確認した手で握りこぶしを握り、素早く手前上方へ圧迫するように突き上げる。
※異物が取れても必ず受診する。
※妊婦、1歳未満の子どもには行ってはいけない。
1歳未満の場合は
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頭を下げ
背中の真ん中を叩くうつ伏せにして片方の腕にのせて手のひらで顔を支え、もう一方の手のひらの付け根で、背中の真ん中を続けて数回力強く叩く。
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頭を下げ2本の指で
胸を圧迫する仰向けにして頭と首を支え、指2本で、胸の真ん中を続けて数回力強く圧迫する。
3歳以下の窒息原因1位は「ピーナッツ」
噛んだり飲み込んだりする力が弱い子どもがピーナッツを食べると、狭い気道を塞いで窒息を招くことがあります。事故を防ぐためにも、乳幼児にナッツ類を食べさせないこと。うっかり口に入れないよう家庭にも置かない方がよいでしょう。

打撲・捻挫

基本のRICE処置
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安静にして悪化を防ぐ。
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氷のうや冷水で患部を冷やす。内出血や腫れを抑え、痛みを和らげる。
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伸縮性のある包帯などで圧迫しながら固定する。内出血や腫れを抑え、痛みを軽くする。
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突き指をしたら、絆創膏などで
隣の指と一緒に固定する。 -
患部を心臓より高く上げて、内出血や腫れを防ぐ。クッションなどの上に患部をのせると安定する。
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※骨折や脱臼をしていることもあるので、応急手当をしたら受診する。

ハチに刺された


毒針を抜き水で洗う
ピンセットなどで毒針を抜き、流水で洗い流して濡れタオルなどで冷やす。虫刺されの市販薬があれば塗り、すみやかに受診する。

歯が折れた・抜けた

卵白液につけてすぐに病院へ
抜けた歯の歯根膜を乾燥させないよう、卵白(なければ牛乳)につけて歯科に持参する。折れた歯は、ラップに包んで持参する。抜けた歯の付け根を触ってはいけない。