肌の乾燥に気をつけたいのは冬だけではありません。エアコンを使う現代では、夏でも乾燥肌は起こり得ます。シミやシワなどの肌老化を招かないためにも夏の乾燥肌の原因を知り、適切な保湿ケアを実践していきましょう。
大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了。医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。現在、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学講座特任准教授、日本化粧療法医学会副理事長。アンチエイジングの第一人者として活躍し、著書に『オトナ女子の「美肌」づくり百科』(ぴあ)、『忙しくても15㎏やせて二度と太らない美習慣』(主婦の友社)など多数。
夏場は汗やTゾーンなどの脂浮きが気になる季節。そのため肌は潤っていると思われがちですが、肌の内側は乾いている可能性があり、「かくれ乾燥肌」に注意が必要です。
皮脂の量は気温が高くなると増加しますが、エアコンが利いた室内にいると、肌はみるみる乾燥してしまいます。高温の室外と冷えた室内の寒暖差によるストレスも、皮脂の分泌に悪影響を与えます。また、夏の強い紫外線も、肌の乾燥を招く大きな要因です。
特に女性は更年期以降、ホルモンバランスの変化から、皮脂の分泌量をはじめ角質細胞間脂質(セラミドなど)やNMF(天然保湿因子)が減り、肌の水分保持量が低下。乾燥肌に陥りやすくなります。
乾燥肌の状態では、表皮のバリア機能が低下してしまい、紫外線などのダメージを受けやすくなっています。つまり、肌の乾燥から、くすみ、シワ、たるみなどの肌老化を進めてしまうことにも。現代の夏は肌を乾燥させやすいことを知り、夏でもしっかり保湿ケアをすることが大切です。
バリア機能を担っているのは、肌表面にある0.02mmほどの角質層。乾燥肌は下記の3つが正常に働かなくなることで起こります。
朝のスキンケアは、次のポイントを押さえて行いましょう。
まず初めは洗顔から。洗顔料はよく泡立てて、ぬるま湯で優しく洗ってください。朝は洗顔料を使わないという人もいると思いますが、少なくとも皮脂の多いTゾーンは洗顔料などを使って欲しいところ。余分な皮脂が残っていると酸化して肌老化の原因となってしまいます。
次に保湿です。洗顔後は急激に肌の乾燥が進むため、10分以内に保湿をすることが大切。化粧水をなじませた後、乳液やクリームで水分が蒸発しないようにふたをしましょう。最後は日焼け止めを塗り、紫外線をしっかりブロックします。
夜のスキンケアは、メイクを落とすことから。肌に優しいミルクまたはクリームタイプのクレンジング剤を使ってメイクを落とし、朝と同様、洗顔、保湿とステップを踏みましょう。
美肌を目指すなら、朝と夜のスキンケアに、美白成分の入ったスキンケア製品を使うのがおすすめ。夏の日焼けで気になるシミの予防にも役立ちます。
保湿成分には様々な種類があり、水分を取り込む働きや皮膚への浸透度合いが異なります。保湿力が高い代表的な成分には、水分を抱え込んで保持する「ヘパリン類似物質」や「ヒアルロン酸」「コラーゲン」、水分の蒸発を防ぐ「セラミド」などがあります。
最近は腸と肌の関係が注目され、腸の状態がよくなると肌の水分保持量が上昇するというデータも明らかになっています。美肌づくりのためにも、乳酸菌やオリゴ糖などを積極的に摂り、腸内環境を整えるようにしましょう。
食生活が乱れがちな夏ですが、皮膚の材料となる良質のタンパク質をはじめ、ビタミンA・C・E、ビタミンB群などは不足しないよう気をつけて。また、紫外線によって大量に発生する活性酸素の害から肌を守るために、抗酸化成分を含む食品も積極的に摂るようにしましょう。