目の日焼けが原因の目の病気は? 目の日焼けの対処法・予防法

夏本番となるこの時期、注意したいのが日焼けです。しかし肌の日焼けは気にしていても、目の日焼けには無頓着……という人も多いのではないでしょうか。実は、紫外線は様々な目の病気とかかわりがあり、目にも紫外線予防が大切なのです。今回は、見落とされがちな目の日焼けについて、注意すべき点や正しい対処法をご紹介します。

目の日焼けのメカニズム

目の日焼けのメカニズム

「目の日焼け」と聞いてもピンとこない方も多いかもしれません。なぜ目も日焼けをするのか、まずはそのメカニズムを解説します。

眼球の最も外側の部分の透明な膜、いわゆる「黒目」に当たる部分を「角膜」といいます。波長が280ナノメートル以下の光は全てこの角膜で吸収され、これより波長が長い紫外線も、その大半は角膜と水晶体で吸収されます。吸収されなかった残り1~2%の紫外線は、水晶体を通過して網膜まで到達します。眼球の表面にある角膜は、肌と同じで強い紫外線の影響を受けやすく、炎症が起こりやすいため、様々な目の病気と関連するのです。

紫外線は角膜と水晶体で大半が吸収される。角膜は強い紫外線の影響を受けやすい。

こうした紫外線による角膜の炎症のことを「目の日焼け」といいます。よく知られているのが「紫外線角膜炎」で、「雪目(ゆきめ)」とも呼ばれています。紫外線によって起きる急性の表層角膜炎で、海水浴場や標高の高い山、スキー場など紫外線の強い場所で、直接かつ長時間、紫外線を浴びることで角膜が炎症を起こし、発症します。

目の日焼けによって引き起こされる目の病気とは?

目の日焼けは、様々な目の病気と関連があります。急性疾患から慢性疾患まで、紫外線が関連する代表的な疾患を紹介します。

<急性疾患>
①紫外線角膜炎(雪目・雪眼炎:せつがんえん)

目の日焼けによって引き起こされる目の病気とは?

強い紫外線に長時間さらされた時に見られる急性の角膜炎で、雪面など紫外線の反射が強い場所で起きる「雪目」が広く知られています。「雪眼炎」とも言います。昼間に強い紫外線を数時間浴びたのち、約6~10時間経過してから症状が出始めます。主な症状は、目の充血、目がゴロゴロする、涙が出る、目が痛くて開けられない、まぶしい、目がかすむ、見えにくいなどです。大部分は24~48時間で自然治癒します。

紫外線角膜炎

<慢性疾患>
②翼状片(よくじょうへん)

翼状片は、球結膜(白目)の部分の組織が異常増殖して、目頭のほうから角膜(黒目)の上に三角形状に伸びてかぶさるようになってしまう疾患です。

発症原因は不明な点も多いですが、農業や漁業従事者など戸外での活動時間が長い人に多発していることから、紫外線の影響が一因と考えられています。

一般的には30代以降に発症し、ゆっくりと進行するため、多くは外来で経過を観察します。症状によっては手術も選択肢のひとつです。外科的な切除は15分程度の手術ですが、2~7%の人は再発し、再手術が必要になることがあります。

翼状片

③白内障

白内障は眼科疾患の中でも最も罹患者が多い病気のひとつです。日本人に最も多く見られる皮質白内障は、紫外線との関係性がよく知られています。白内障は、本来は透明である水晶体が濁る病気です。水晶体が濁ると網膜まで光が届かなくなり、目がかすむ、細かい文字が見えにくい、光をまぶしく感じるなどの症状が現われ、徐々に視力が低下していきます。進行すると失明に至ることもあります。

日常生活に支障を来した場合は手術が必要です。混濁した水晶体を摘出し、眼内レンズと交換する手術が行われます。

白内障

④瞼裂斑炎(けんれつはんえん)

角膜(黒目)のすぐ外側の球結膜(白目)が黄色く濁って盛り上がる疾患です。充血を伴い、目の痛みや異物感などの症状が生じます。盛り上がった部分は脂肪やタンパク質が沈着してできたもので、コンタクトレンズの使用や加齢の他、紫外線や潮風にさらされることなどが原因となります。

瞼裂斑炎

⑤加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)

加齢によって網膜の中心にある黄斑部に異常が生じる病気です。初期は物の中心部が暗く見えたり、ゆがんで見えたりします。病気の進行に伴って見えにくい範囲が徐々に広がり視力が低下します。網膜まで到達する紫外線はわずかですが、長年の紫外線のばく露が加齢黄斑変性につながる可能性があります。

加齢黄斑変性

目の日焼けをしてしまった時の対処法

目の日焼けをしてしまった時の対処法

うっかり目の日焼けをしてしまった、また紫外線角膜炎が疑われる症状が出た場合は、目を閉じて安静にし、睡眠を十分とるなどして目を休めることが大切です。濡れタオルや保冷剤などでまぶたを冷やすのも効果的です。ほとんどの場合、24~48時間で自然治癒します。

市販の目薬を使用する際は、ヒアルロン酸の目薬など刺激の少ないタイプを選びましょう。角膜に傷がついているので、スーッとするタイプの市販の目薬では痛みを感じることがあります。基本的には目を休めていれば治りますが、2日経っても痛みが引かない、痛みが強い場合は、眼科を受診しましょう。

紫外線の影響が目に強く出る人・出ない人、何が違う?

肌質によって日焼けのしやすさが違うように、紫外線の目への影響にも個人差があります。違いを生む大きな要素のひとつが涙液の量です。涙は紫外線に当たると発生する活性酸素を分解して、洗い流す役割があります。炎症が起こりにくくなるよう、目を保護してくれるのです。一方、涙の量が少ないと角膜が露出して傷がつきやすくなります。涙の量が少ないドライアイの人は、紫外線の影響が出やすくなります。

また、紫外線が影響する白内障などでは、目の色が薄い人は紫外線を通しやすく、目への影響が出やすくなります。目の色は虹彩に含まれるメラニン色素の量によって変わってきます。メラニン色素は有害な紫外線から身体を守る役割をもつ色素です。欧米人に比べると、日本人は濃い虹彩の人が多いですが、日本人でも目の色が薄い人は、サングラスなどを利用して目を守ることが大切です。

近年は、紫外線抑制(UVカット)機能付きの眼鏡やコンタクトレンズなども多くあり、上手に利用すれば裸眼よりも紫外線から目を守ってくれる効果が期待できます。

目の日焼けを防ぐ効果的な予防法

目の日焼けを防ぐ効果的な予防法

目の日焼けを防ぐためには、紫外線をなるべく浴びない予防やケアが大切です。手軽で効果がある以下のような対策を取り入れてみましょう。

帽子をかぶる
外出時には帽子をかぶりましょう。目の紫外線ばく露は、帽子の着用で約20%減少するといわれています。麦わら帽子など幅広いつばのある帽子がより効果的です。

日傘を使う
最近はUVカット機能の高い日傘もあります。デザインだけでなく機能性にも注目して選ぶことも大切です。なお、紫外線は曇りの日でも降り注ぎます。アスファルトなど下からの照り返しもあるため、曇りの日でも日傘を使ってケアしましょう。

UVカットサングラス・眼鏡をかける
UVカット機能付きのサングラスや眼鏡を適切に使えば、目の紫外線ばく露を最大約90%減らすことができます。サングラスは目を守るために必要なものと考えましょう。選ぶポイントをご紹介します。


サングラス選びのポイント① 「紫外線透過率」と「可視光線透過率」をチェック

●紫外線透過率……紫外線を通す割合。数値が低いほど紫外線のカット率が高い

例えば、タグなどに「紫外線透過率1.0%以下」という表示がされていたら、99.0%以上の紫外線をカットしているということです。

●可視光線透過率(視感透過率)……光を通す割合。数字が低いほど光を通さない

8%未満

光をほとんど通さないため、運転や路上歩行時の使用は禁止

8~30%

日中や日差しの強い日に適している

40~75%未満

目が透けて見え、表情も分かるので、サングラス初心者でも着けやすい

75~100%

光量が多く、夕暮れ・夜間の路上歩行使用は可能

※日本工業規格(JIS)では、可視光線透過率8%未満のレンズは、昼間でも光量不足で視力が低下する場合があり大変危険なため、運転及び路上での歩行時には使用が禁止されています。

※同様に75%未満のレンズは光量不足で視力が低下するため、夜間・夕暮れ時の運転または路上では使用が禁止されています。


サングラス選びのポイント② 色の濃さとUVカット効果は関係ない

サングラス選びのポイント② 色の濃さとUVカット効果は関係ない

紫外線カットが目的ならば、黒など色の濃いサングラスを選ぶほうがよいと思いがちですが、実はサングラスの色の濃さと紫外線抑制効果は関係がありません。色の濃いサングラスをかけると目に入る太陽の光が少なくなり、目は光を取り入れようとして、瞳孔が普段よりも大きく開きます。瞳孔が開けば、多くの紫外線の侵入を許してしまい、紫外線カットが不十分なサングラスではかえって危険が増してしまいます。必ずUVカット効果のあるサングラスを選びましょう。


サングラス選びのポイント③ 顔の骨格に合った、ある程度の大きさのあるものを選ぶ

目が浴びる紫外線は正面からだけではありません。上方、側方、下方からも浴び、また後方からの紫外線も、レンズの内側に反射して照射されます。そのため、レンズが小さいサングラスだと上方、側方、下方から紫外線が入りやすく、大きなレンズでも顔の骨格に合わないものでは、後方からの紫外線に十分な効果は得られません。強い紫外線から目を守るためには、ゴーグルタイプや顔にフィットするデザインで、ある程度の大きさのあるサングラスを選ぶようにしましょう。

昔よりも紫外線が強くなっている現代では、日焼けから目を守るケアが必要です。「帽子」「日傘」「UVカットサングラスや眼鏡」と、1つより2つのこと、2つより3つのことを取り入れることで、紫外線予防効果はさらに高まります。目の日焼けを防ぐために、今年の夏からさっそく始めてみましょう。


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監修プロフィール
南青山アイクリニック理事長・院長 とだ・いくこ 戸田 郁子 先生

筑波大学医学専門学群卒業。東京慈恵会医科大学眼科、慶應義塾大学眼科学教室専修医、東京歯科大学眼科を経て、1994年米国ハーバード大学・眼研究所留学。97年南青山アイクリニック院長となる。99年慶應義塾大学医学博士に。2002年南青山アイクリニック理事長に就任。04年慶應義塾大学眼科学教室講師。専門分野は屈折矯正手術(近視・乱視・遠視手術)およびドライアイ

監修プロフィール
南青山アイクリニック理事長・院長 とだ・いくこ 戸田 郁子 先生

筑波大学医学専門学群卒業。東京慈恵会医科大学眼科、慶應義塾大学眼科学教室専修医、東京歯科大学眼科を経て、1994年米国ハーバード大学・眼研究所留学。97年南青山アイクリニック院長となる。99年慶應義塾大学医学博士に。2002年南青山アイクリニック理事長に就任。04年慶應義塾大学眼科学教室講師。専門分野は屈折矯正手術(近視・乱視・遠視手術)およびドライアイ

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