ドライアイとは、目の表面を潤してくれている涙の分泌(ぶんぴつ)量が減ったり、涙の質が変わったりすることで、目の健康が保てなくなる症状を指します。ドライアイは、単に目が乾くだけではなく、目の疲れやかすみなどの症状も現れます。仕事でパソコンを使う人の3人に1人がドライアイというデータもあり、近年は急増傾向にあります。
1988年藤田保健衛生大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室助手、同大学医学部漢方医学センター助教、WHO intern、慶應義塾大学薬学部非常勤講師、北里大学薬学部非常勤講師、首都大学東京非常勤講師などを経験。2013年芝大門 いまづクリニック開設。北里大学薬学部非常勤教員。著書に『風邪予防、虚弱体質改善から始める 最強の免疫力』(ワニブックス)など。
ドライアイの原因は、涙の分泌量が減ったり涙の質が変わったりすることです。涙というのは、ムチン層、水層、油層の3層から成り、目の表面を滑らかに覆い、刺激や乾燥、紫外線などから目を守っています。ドライアイで涙の層が不十分になると、外界の刺激をダイレクトに受けるため、目の痛み、かゆみ、目の疲れなど、目のトラブルを起こしやすくなります。
涙は加齢と共に分泌量が減ったり、質が変わったりするため、ドライアイは高齢になるほど多く見られます。また、過剰なストレスも涙の減少につながります。涙は副交感神経に支配されているので、交感神経優位の、ストレスなどによる緊張状態では、涙の蒸発量が増えてドライアイになってしまうのです。
ドライアイが急速に増えている一因となっているのが、スマホの普及です。長時間画面を凝視するため、自然とまばたきの回数が少なくなり、涙が不足してしまうのです。
女性特有のドライアイの原因としてアイメイクも挙げられます。アイラインやエクステ用接着剤の洗い残しは、目の縁にある脂質を出す穴「マイボーム腺」をふさぐ原因となり、目の健康に悪影響を与えます。腺が詰まると油分の分泌量が減り、涙が蒸発しやすくなり、ドライアイを招きます。
まばたきをせず、目を何秒間開けていられますか? 10秒間開け続けることができれば、涙の分泌量は正常です。
ドライアイの主症状は、「目の疲れ」。疲れ目を訴えている人の多くはドライアイの可能性があるといわれています。目の乾きの他にも、かすみ、ゴロゴロ感、目の重苦しさや見えにくさ、充血しやすいといった症状があります。
なお、ドライアイは、原因別に次の3つのタイプに分けられ、それぞれ症状にも特徴が見られます。
ドライアイにならないようにするために、長時間スマホやパソコンを使用する時は、1時間に1回は画面から目を離し、遠くを眺めたり、目を閉じたりして、目を休ませる習慣をつけましょう。意識してまばたきを増やすことも大切です。
室内が乾燥していてもドライアイにつながります。部屋の湿度は50〜60%が理想。乾燥している場合は加湿器を使うとよいでしょう。
ドライアイ対策として目薬も有効です。選ぶ際は、涙の成分である塩化カリウムと塩化ナトリウム、さらに目に潤いを与える成分が含まれた目薬を選びましょう。市販の目薬には様々な成分が含まれていますが、ドライアイの目の表面はデリケートになっているので、防腐剤の入っていない物を選びましょう。
目薬をさしても症状が改善しない場合は、目の表面ではなく、他の目のトラブルの可能性も。早めに眼科を受診しましょう。
アンチエイジング効果の高いビタミンA・C・Eをはじめ、アントシアニン、ルテインなど下記にあるような抗酸化物質には、目の健康を守る働きがあります。抗酸化物質の多くは野菜や果物に含まれる色素成分で、老化の原因となる活性酸素から細胞や組織を守る効果が期待できます。ドライアイには涙の質を改善する効果が期待できる、DHAやEPAを積極的に摂るのもおすすめです。