夏の皮膚炎・皮膚トラブルは、正しいケアで早めに対処

高温多湿な夏は、多量の汗が原因となる皮膚炎や皮膚トラブルが起こりやすい季節。菌の繁殖も活発になるため、皮膚の感染症も多く見られます。また、肌を露出する機会が増えることで、強い紫外線、かぶれを起こす植物や虫など、外部からの刺激を肌に受けやすくなります。原因別の皮膚炎・皮膚トラブルと対処法を知って健やかな夏を過ごしましょう。

「紫外線」が原因となる主な皮膚炎・皮膚トラブルは?

紫外線が原因となる主な皮膚トラブルには、以下のような日焼けによる皮膚炎や、免疫力の低下が招く感染症があります。

●日焼け(日光皮膚炎)

強い紫外線を浴びると、皮膚の細胞が傷つき、炎症を起こして赤くなることがあります。これが一般にいわれる日焼け(日光皮膚炎)です。日焼けがひどくなると、水ぶくれができて痛みを伴ったり、熱が出たりすることもあります。

日焼け(日光皮膚炎)

●光線過敏症

紫外線が原因で起こる皮膚炎として、日光に過敏に反応して皮膚の赤みや炎症、強いかゆみが起こります。

光線過敏症

●口唇ヘルペスの再発

紫外線により皮膚の細胞が傷つくと、皮膚の免疫力が低下し、感染症を招いたり、再発したりします。代表的な感染症として、唇に痛みや水ぶくれなどの症状を引き起こす口唇ヘルペスがあります。過去にヘルペスウイルスに感染した経験があると、強い紫外線を浴びることで皮膚の免疫力が低下し、普段は活動が抑制されているヘルペスウイルスが活性化して再発しやすくなるのです。また、口唇ヘルペスは体の免疫力が低下することでも再発します。夏かぜや夏バテなど、体の免疫力が落ちやすい夏は再発に注意が必要です。

口唇ヘルペスの再発

紫外線による皮膚炎・皮膚トラブルを予防するには?

紫外線による皮膚トラブルを予防するためには、何よりも紫外線対策を徹底することが大切です。紫外線から皮膚を守るためにはまず、肌の露出を控えること。その上で日傘を差すなどしましょう。衣服は濃い色で、目の詰まった繊維の物が有効です。

顔などの露出を避けられない部分には、日焼け止めの塗布(とふ)が必要です。首の後ろ、手の甲、耳、目の周りなどの塗り忘れに注意し、2~3時間おきに塗り直すようにしましょう。

紫外線対策のポイント、1肌の露出を控える、2露出を避けられない部分には日焼け止めを塗る

日焼けをした場合は保冷剤などで冷やし、ほてりが治まったら、乾燥を防ぐために保湿剤を塗ります。赤く腫(は)れたり水ぶくれなどができたりした場合は、炎症を抑える皮膚治療薬を使用し、異常を感じたら皮膚科を受診するとよいでしょう。

強い紫外線を浴び、唇にチクチク、ピリピリとしたかゆみやほてりが現れたら口唇ヘルペスの再発が疑われます。病院で口唇ヘルペスと診断されたことがある場合には、同じ症状であることを薬剤師が確認した上で再発治療薬を購入できます。早めに塗布を開始しましょう。

日焼け・口唇ヘルペス再発の対処法。日焼け軽症の場合は十分に冷やし保湿、重症の場合は皮膚治療薬を使用。口唇ヘルペス再発の場合は再発治療薬を塗布。

●思いもよらぬ日焼けにご用心

近年、「足の甲に黒い斑点ができた」と皮膚科を受診する子どもが増え、それが実は穴が開いたデザインのサンダルによる日焼け跡だった……と笑い話になることも。日焼け跡が穴と合致すれば笑い話で済みますが、皮膚に暗紫褐色の斑ができる「紫斑(しはん)」を伴う病気などもあるので、判断が難しい場合は皮膚科を受診するようにしましょう。

「汗」が原因となる皮膚炎・皮膚トラブルは?

夏は汗による皮膚トラブルも多くなります。主にあせもや汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)、接触皮膚炎などに注意しましょう。

●あせも・汗疱状湿疹

高温多湿の夏は汗を多量にかくため、汗腺(かんせん)で分泌(ぶんぴつ)された汗を皮膚の外に出す汗管が詰まりやすくなります。皮膚の表面近くの汗管が詰まると、透明の小さな水疱がたくさんできます(白いあせも)。皮膚の表面から少し深い所で汗管が詰まると、赤い発疹(ほっしん)が現れ、かゆみや痛みを伴います(赤いあせも)。また、手のひらや足の裏など、角質の厚い部分に起きると汗疱状湿疹といって、小さな水疱がたくさん集まって大きくなったり、かゆみや炎症を伴ってくることがあります。

あせも・汗疱状湿疹とは

●アレルギー性接触皮膚炎

汗が原因となる皮膚トラブルとして、アレルギー性の接触皮膚炎もあります。皮膚に触れるアクセサリーなどの金属の成分(ニッケルなど)が汗でわずかに溶け、その成分に皮膚がアレルギー反応を起こしてかぶれてしまいます。

アレルギー性接触皮膚炎とは

●アトピー性皮膚炎の悪化

アトピー性皮膚炎の人は皮膚のバリア機能が弱いため、汗をかきやすい夏に悪化する場合もあります。

アトピー性皮膚炎の悪化

「菌」の感染による皮膚炎・皮膚トラブルは?

菌の繁殖は、高温多湿の状況では特に活発になるため、皮膚の感染症も多くなります。

代表的な感染症としては、とびひが挙げられます。とびひは、皮膚の表面に多く生息する黄色ブドウ球菌や鼻・のどなどに生息するA群溶血性レンサ球菌(溶連菌)が傷口などから入り込むことで発症します。とびひは黄色ブドウ球菌によるものが多く、あせもなどをかき壊した患部に感染すると水ぶくれができ、その水ぶくれをかき壊すことで全身に広がります。溶連菌によるとびひは虫さされの後にできることが多く、厚いかさぶたになります。

プールなどで裸足になる機会が多い夏は、水虫の原因となる白癬菌に感染する機会も多くなります。既に感染している人は、菌の活動が活発になる夏に、かゆみを伴う水疱ができることがあります。

●注意が必要な「毛のう炎」

毛のう炎とは、毛穴に細菌が感染して起こる症状で、にきびと似ています。ショーツのゴムで擦れる臀部(でんぶ)や外気に接している顔などにできることが多く、炎症が強いと痛む場合がありますが、基本的には自然に治ります。

ただし、眉間から鼻のあたりにできる毛のう炎には注意が必要です。この部位は皮膚が薄いため、頭蓋骨の中の静脈叢(じょうみゃくそう)に菌が入り込みやすく、髄膜炎(ずいまくえん)などの重篤な合併症を起こすことがあります。顔の真ん中に毛のう炎ができたら、患部に触れず皮膚科を受診しましょう。

毛のう炎

汗や菌から皮膚を守るには?

汗や菌による皮膚トラブルの発症や悪化を防ぐためには、皮膚を清潔に保ち、生活習慣を見直すことが大切です。特に次のことを心がけるようにしましょう。

●皮膚を清潔に保つ……汗をかいたら、早めに洗い流すことを心がける。感染症がある場合は、せっけんを用いて優しく洗う。菌が出す毒素を洗い流すことで、症状の悪化を防ぐ。

皮膚を清潔に保つ

●かかない……かき壊して皮膚を傷つけると、症状を悪化させ菌にも感染しやすくなる。

かかない

また、皮膚も体の一部であるため、食事や生活習慣の乱れ、ストレスの影響を受けてしまいます。ストレスを受けると、気を紛らわすために、かく行為が繰り返され、習慣化しやすくなります。特に次のことを心がけましょう。

●1時間多く睡眠をとる……睡眠不足はストレスを招く。睡眠が足りていると感じても、1時間多く睡眠をとる。

1時間多く睡眠をとる

●バランスのよい食事……食事が不規則になると、栄養バランスが偏り、症状の悪化を招くことがある。

バランスのよい食事

かゆみを伴う皮膚トラブルの悪化を防ぐためには、かかないことが第一です。また、かゆみを止める方法として、次のことをおすすめします。

●患部を冷やし、血流を抑える……保冷剤にハンカチを巻き、患部に当てる。かゆみが遠のくまで当てるとよい。

患部を冷やし、血流を抑える

●かゆみ止め薬をのむ……抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などを活用する。

かゆみ止め薬をのむ

どんな皮膚治療薬を使えばよいの?

皮膚治療薬をとり入れる際は、症状や塗布する部位に合わせて選ぶことが重要です。かき壊しがある場合は、刺激の少ない軟膏やクリームがおすすめです。購入する際は、症状と塗布する部位を薬剤師に相談しましょう。

また、皮膚治療薬は塗り方が大切です。軟膏は塗布した部分にテカリがあり、触ると多少ベタつく程度、クリームはしっとりする程度に塗布しましょう。

症状別皮膚治療薬の選び方

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監修プロフィール
若松町こころとひふのクリニック院長 ひがき・ゆうこ 檜垣 祐子 先生

1982年東京女子医科大学卒業後、同大学皮膚科に入局。84年よりスイス・ジュネーブ大学皮膚科に留学。その後、東京女子医科大学皮膚科助教授、同附属女性生涯健康センター教授を経て、17年より現職。医学博士。専門はアトピー性皮膚炎、皮膚科心身医学。著書に『皮膚科専門医が教える やってはいけないスキンケア』(草思社)など。

監修プロフィール
若松町こころとひふのクリニック院長 ひがき・ゆうこ 檜垣 祐子 先生

1982年東京女子医科大学卒業後、同大学皮膚科に入局。84年よりスイス・ジュネーブ大学皮膚科に留学。その後、東京女子医科大学皮膚科助教授、同附属女性生涯健康センター教授を経て、17年より現職。医学博士。専門はアトピー性皮膚炎、皮膚科心身医学。著書に『皮膚科専門医が教える やってはいけないスキンケア』(草思社)など。

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