肥満している人、最近太ってきたと感じる人は要注意。重い体重は膝に負担をかけ、変形性膝関節症などのトラブルつながります。また、運動不足の人も激しい運動をしている人も、将来膝の痛みを起こすリスクが高いといえます。膝は正しく適度に使うことで健康が維持されます。生活習慣を見直し、膝に負担をかける要因があれば改善に努めましょう。
膝のトラブルを招きやすい要因としては、肥満、O脚やX脚、筋力の低下、スポーツや肉体労働による膝の酷使などが挙げられます。また、中年期から増えてくる変形性膝関節症は女性に多い傾向がありますが、これは女性のほうが男性に比べて関節が柔らかく、筋力が弱いことが関係していると考えられます。足に合わない靴やハイヒールをよく履く人、長時間の立ち仕事をしている人、歩き方に癖があり、靴の底が偏って減っている人、体を冷やす環境で過ごすことが多い人なども要注意です。現在とくに問題がない人でも、年齢とともに筋力は衰えてくるので、日ごろから適度な運動を心がけるようにしましょう。運動では、膝への負担が少なく、誰にも無理なく取り組めるという点で、ウォーキングを一番におすすめします。膝の柔軟性を保つためのストレッチも併せて行えば、膝のトラブルの予防・改善にいっそう効果的です。
1947年生まれ。東京大学医学部卒業 1997年より聖路加国際病院整形外科部長となる。2012年より林外科病院整形外科部長。専門は関節外科、スポーツ医学、ひざ関節と関節鏡による手術など。