首コリは生活の中の様々な“姿勢”に原因あり!つらい首コリの解消法や予防法を紹介

スマートフォン(スマホ)やPC作業に熱中し過ぎて悪姿勢のクセがついていたり、頸椎(けいつい)の適正なカーブが失われる「ストレートネック」になっていたりする人が増えています。そんな人たちの多くが抱える悩み「首コリ」の予防・解消法を紹介します。

首コリを招く習慣とは?スマホやPC使用中の姿勢に要注意。

首コリを招く習慣とは?スマホやPC使用中の姿勢に要注意。

首と肩はつながっているので「首コリ」と「肩コリ」は区別がしにくいですが、うなじ周辺の筋肉がこわばっている人、首を左右に90度ひねることができなかったり上を向くと首が痛かったりと首の可動域が狭まっている人は、首がこっている状態といえます。

では、なぜ「首コリ」の状態になってしまうのでしょうか?

人の頭の重さは平均5〜6kgぐらいです。重たい頭も脊椎(せきつい)の真っすぐ上に乗っていれば、胸や背中の筋肉を使ってバランスよく支えることができ、さほど重たさを感じることはありません。しかし、頭が脊椎の真上から15度ほど前へ傾くと、首や肩にかかる頭の重さは通常の2倍である約12kgに。さらに、スマホ使用時になりがちな60度の前傾姿勢(イラスト参照)では、なんと約27kgにもなってしまいます。


スマホ使用時の姿勢は、背中が丸まり、頭は約60度の前傾になりがち。

背中が丸まり、頭が前方へ突き出している。スマホ使用時、頭は約60度の前傾になりがち。


スマホやPC作業などに熱中すると、頭が前に突き出て、背中が丸まった悪姿勢になりがちです。この姿勢を長時間続けると、頭を支えている頸椎や脊椎全体、その周辺の筋肉の荷重バランスが崩れることに。そして、首すじの筋肉が前方へ引っ張られて緊張し、「首コリ」を招きます。

また、頭を前に突き出した悪姿勢が常態化すると、頸椎の正常なカーブが失われる「ストレートネック」になることがあります。ストレートネックは頸椎に大きな負荷がかかり、首の後ろにある「後頭下筋群」が緊張し、「首コリ」の症状を引き起こします。

正常な頸椎とストレートネックになってしまった頸椎
脊椎のイラスト

就寝中の「歯ぎしり」や「食いしばり」も首コリの原因の1つです。かむ時に使う筋肉「咬筋(こうきん)」は、首の後ろの「上位頸椎」とつながっていて、この部分に圧がかかって硬くなると首の血流が滞り、首コリを招きます。就寝中に限らず、うつむいてスマホ画面を見ている時も、無意識的に歯をかみ締めてしまいがちです。

このように「首コリ」は悪姿勢、そして首を支える筋肉に過剰な負荷がかかることで起き、筋肉量の少ない人や、全身の筋肉バランスが崩れている人ほど「首コリ」を起こしやすくなります。

首コリが原因で、他の不調が現れることがあるの? 気をつけたい症状は?

首には全身に血液を送る血管や自律神経が通っているため、首の筋肉がこわばると自律神経の乱れを引き起こす場合があります。自律神経が乱れることで、頭痛やめまい、目の不調など様々な不定愁訴を招きます。一方で、自律神経の乱れによる血行不良から「首コリ」を起こす人もいます。

首だけでなく、腕や手首までつながる痛みや、手の指先に力が入りにくい、しびれるなどの症状が現れている場合は、単なる首コリではなく、神経の異常により症状が現れる疾患「椎間板ヘルニア」や「頚椎症」の可能性もあります。

首周りの慢性的な不調が急激な痛みに変わった時には、注意が必要です。首から背中、腰にかけての劇的な痛みは、胸部大動脈瘤など命にかかわる重大な病気が原因のことも。早めに医療機関を受診しましょう。

首コリがつらい時におすすめのマッサージ2種

首コリがつらい時にはマッサージがおすすめ

首コリは、首の後ろの筋肉が伸びたまま緊張し、血行不良を起こしている状態です。首コリの改善・解消にはまず、軽いマッサージと温めで血流を促進するとよいでしょう。首には重要な神経が通っているため、マッサージを行う際は、優しくもみほぐす程度にしましょう。

●首コリにおすすめのマッサージ
特別な道具は不要で、いつでもどこでもできるので、首コリを感じたら即実践を。

<その1>
骨盤を立てた状態で座り、両手を頭の後ろで組み、頭を両手に押し付けるように後ろへプッシュします。呼吸3回分、首は反らさずに姿勢をキープ。首の後ろに手のひらを当てて温めるだけでも心地よくなります。

首コリにおすすめのマッサージ(骨盤を立てた状態で座り、両手を頭の後ろで組み、頭を両手に押し付けるように後ろへプッシュします。呼吸3回分、首は反らさずに姿勢をキープ。)

<その2>
首から頭を支えている「僧帽筋(そうぼうきん)」をストレッチし、「肩甲骨(けんこうこつ)」の動きをよくして首コリを和らげます。肩を後ろに引き、肩甲骨を背骨に向かってグイッと寄せます(①)。その状態からゆっくりと両肩を上げて5〜6回肩を回します(②)。

首から頭を支えている「僧帽筋(そうぼうきん)」と「肩甲骨(けんこうこつ)」の位置
首コリにおすすめのマッサージ①肩を後ろに引き、肩甲骨を背骨に向かってグイッと寄せます。②その状態からゆっくりと両肩を上げて5〜6回肩を回します。

首コリは予防できます!生活の中での様々な姿勢を見直してみよう

➀“ゼロポジション”で座る

背骨が真っすぐに伸び、背骨周辺の筋肉や靭帯がバランスよく背骨を引っ張り、歪みなく支え合っていると余計な負荷がかからず、体にとって無理がありません。このような状態を医学的に“ゼロポジション”と呼び、この考え方を座り姿勢に取り入れたのが「ゼロポジ座り」です(イラスト参照)。

ゼロポジションで座る

骨盤をまっすぐ立てて座り、胴体と太ももの間(股関節)を110度ほど開きます。こうすると骨盤の上に腰椎、脊椎が真っすぐに乗るので、体にかかる負担を小さくできます。私たちは一日の中で想像以上に長い時間を座って過ごしており、座り姿勢が悪いと骨格の歪みや筋肉バランスの乱れ、筋力低下を招きやすくなります。「ゼロポジ座り」は猫背になりにくく、頭も脊椎の上の正しい位置に乗るため、首コリ、肩コリ、腰痛を起こしにくくなります。

②スマートフォンを見る時の姿勢を正す
頭を真っすぐに起こし、左右の耳の位置を固定した状態で、あごを動かせる範囲内で下を向きます。この姿勢で視線が届く範囲内にスマホを持つと首が“ゼロポジション”になり、首や肩に過剰な負担がかからなくなります。立ってスマホを見る時は、脊椎を軸にして頭(もしくは喉元やみぞおち)が真っすぐ上に乗るように意識して立つようにしましょう。

スマートフォンを見る時の姿勢

➂パソコン作業の環境を見直す
ディスプレイ装置の位置は、高過ぎても低過ぎても首に負担がかかります。ゼロポジ座りをして、あごを引き、視線が真っすぐ画面に届くように高さや角度を調整しましょう。また、視力の低下や度数の合わない眼鏡を使用していると、見えにくさから顔を画面に近づけてしまい、体が前傾姿勢になりがちです。視力を正しく矯正し、画面の文字サイズを大きくして使用することも、首コリ予防に効果的です。

⓸「歯ぎしり」「食いしばり」を改善する
起床時に首の重だるさを感じる人は、寝ている間に「歯ぎしり」や「食いしばり」をしているかもしれません。こうしたクセを解消することも、首コリの予防・解消になります。体が緊張した状態のまま眠ると、歯ぎしりや食いしばりによってさらに緊張を高めてしまうことがあります。寝る前に口を開いて顎関節を緩めたり、咬筋を軽くマッサージするなど、日中の緊張をほぐしてから布団に入ることをおすすめします。また、首の筋肉の緊張を招かないよう、枕の高さも自分の体に合った物を選ぶことが大切です。

●口周りを緩める咬筋マッサージ

口周りを緩める咬筋マッサージ。げんこつを作り第1関節と第2関節の間を使って、あご骨の下から顎先に向けてなで下ろす。

げんこつを作り第1関節と第2関節の間を使って、あご骨の下から顎先に向けてなで下ろす。


首が痛いからと首のマッサージばかりしていると、かえって痛みが増してしまうことがあります。痛みが起きている部位だけにアプローチするのではなく、首の骨の土台をケアすることを意識してみましょう。例えば先述のマッサージのように、首を支えている僧帽筋などをストレッチすることが大切です。スマホやPCを長時間使用する人は首コリが起こりやすいもの。普段の姿勢を見直したり、首コリのマッサージなどを習慣にしたりして、つらい首コリを予防・改善しましょう。


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監修プロフィール
Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長 なかむら・かくこ 中村 格子 先生

整形外科医・医学博士・スポーツドクター・医療法人社団BODHI理事長・JOC専任メディカルスタッフ(新体操)。横浜市立大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、自治医科大学整形外科等を経て、2009年国立スポーツ科学センター医学研究部研究員に。JOC本部ドクターとして、日本代表選手団を数多くサポート、帯同。13~17年、横浜市立大学客員教授として在任。14年、Dr.KAKUKOスポーツクリニックを開院。「健康であることは美しい」をモットーに整形外科医・スポーツドクターとしてトップアスリートを支える傍ら、自身のクリニックでの一般診療の他、テレビ・雑誌などのメディアでも多数活動。著書に『体のコリがすべて消える 究極のストレッチ』(日経BP)など多数。

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監修プロフィール
Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長 なかむら・かくこ 中村 格子 先生

整形外科医・医学博士・スポーツドクター・医療法人社団BODHI理事長・JOC専任メディカルスタッフ(新体操)。横浜市立大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、自治医科大学整形外科等を経て、2009年国立スポーツ科学センター医学研究部研究員に。JOC本部ドクターとして、日本代表選手団を数多くサポート、帯同。13~17年、横浜市立大学客員教授として在任。14年、Dr.KAKUKOスポーツクリニックを開院。「健康であることは美しい」をモットーに整形外科医・スポーツドクターとしてトップアスリートを支える傍ら、自身のクリニックでの一般診療の他、テレビ・雑誌などのメディアでも多数活動。著書に『体のコリがすべて消える 究極のストレッチ』(日経BP)など多数。

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