尿路結石

尿路結石

尿路結石とは、腎臓から尿道までの尿路のいずれかに結石が生じる病気です。結石ができる間は自覚症状がほとんどありませんが、結石が尿路のどこかに詰まり、尿の流れがせき止められて腎臓の圧力が高まると、突然「疝痛(せんつう)発作」という激痛を引き起こします。また、結石によって尿路の粘膜が傷ついて出血し、血尿が出ることがあります。
尿路結石は、男性の7人に1人、女性では15人に1人が生涯に経験するといわれ、中年期以降に多く発症します。遺伝的要因もありますが、その多くは生活習慣が原因で、メタボリックシンドロームとの関係も深い病気です。男性に多いですが、近年では女性にも増えてきており、その差は縮まる傾向にあります。

上部尿路結石の罹患率の年次推移のグラフ。尿路結石は男性に多い疾患ですが、近年では女性にも増えてきており、その差は縮まる傾向にあります。

尿路結石は再発しやすいことも特徴です。腎臓にできる結石の場合、再発率が5年で45%、10年で60%といわれています。発症したことのある人は、食生活などを見直して再発防止に努めましょう。

監修プロフィール
東京慈恵会医科大学泌尿器科 講師 ほんだ・まりこ 本田 真理子 先生

2004年長崎大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学大学院、葛飾医療センターなどを経て、2021年より現職。専門は女性泌尿器、泌尿器科一般がんゲノム医療。日本泌尿器科学会指導医・専門医。癌治療認定医、泌尿器腹腔鏡技術認定医

尿路結石について知る


尿路結石の原因

●尿の成分のバランスが崩れ、溶けきれない成分が結晶となって凝集し、結石となる
尿の中にはシュウ酸、リン酸、カルシウム、尿酸、シスチンなど、様々な物質が濃縮されて溶け込んでいます。その溶けきれない成分は結晶となり、結晶が集まると結石になります。
尿の中にはクエン酸やマグネシウムなど、結晶を凝集させないように働く物質も含まれているため、通常は結晶が結石になる前に尿と共に排出されます。しかし、食生活の乱れや代謝の異常、病気、水分不足などによって尿の成分のバランスが崩れたことが原因で、結石ができやすくなるのです。
尿路結石のほとんどはカルシウムがかかわる結石で、中でも多いのが「シュウ酸カルシウム結石」です。シュウ酸カルシウム結石は、金平糖のように表面がギザギザした形のため、小さくても尿管などに引っかかって排出されにくく、粘膜を傷つけて血尿の原因にもなります。他に、「リン酸カルシウム結石(シュウ酸カルシウム結石と交じり合っていることが多い)」などがあります。

●尿路結石は、尿路のどこにできるかで4つに分類される
尿路とは、血液の老廃物を濾過(ろか)して尿をつくる腎臓、尿を膀胱まで運ぶ尿管、尿をためる膀胱、尿を出す尿道を指します。尿路結石は、結石のある部位によって「上部尿路結石(腎臓と尿管にできる結石)」と「下部尿路結石(膀胱と尿道にできる結石)」に分けられます。

尿路結石の種類は、上部尿路にできる腎結石・尿管結石(腎結石が尿管に落ちる)、下部尿路にできる膀胱結石(上部から落ちてきたり膀胱でできたりする)・尿道結石(膀胱結石が尿道に落ちる)があります。

上部尿路結石は、比較的健康な人にも起こる結石です。「腎結石」と「尿管結石」の2種類がありますが、いずれも結石自体は腎臓でつくられます。腎臓に留まれば腎結石で、尿管に流れ落ちれば尿管結石となります。上部尿路結石の成分は、ほとんどがカルシウム結石です。
下部尿路結石には「膀胱結石」と「尿道結石」の2種類があり、腎臓でつくられて膀胱まで落ちてきて膀胱内で大きくなるものと、膀胱内で新たにできるものがあります。膀胱から尿道に落ち、留まったものが尿道結石と呼ばれます。
下部尿路結石は、カルシウム結石の割合は少なく、尿酸結石や感染結石が多いのが特徴です。感染結石とは、尿路感染症によって尿がアルカリ性になって形成される結石のことで、成分としてはリン酸マグネシウムアンモニウム結石です。
下部尿路結石は、前立腺肥大症による排尿障害が原因になることが多く、高齢男性に起こりやすい傾向にあります。


尿路結石の症状

●ある日突然、片側の背中やわき腹、鼠径部(そけいぶ)などに激しい痛みの発作が起きる
尿路結石の症状として典型的なのは、片側の背中やわき腹に起きる突然の激痛が走る「疝痛発作」です。腎臓にできた結石が尿管に落ちた時に起き、実際に結石のある場所よりも下に向かって痛みが放散することもあるため、下腹部や鼠径部に痛みが走ることもあります。あまりの痛さに、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

尿路結石で痛みを感じやすい場所は、背中やわき腹から鼠径部にかけてです。

●尿路結石の激しい痛みのメカニズム
結石が尿管に詰まって尿の流れがせき止められると、「腎盂(じんう)」という、腎臓でつくられた尿が最初に集まる漏斗(ろうと)状の空間の内圧が急激に上がります。
尿管は尿を下に押し出そうとして激しくけいれんし、腎臓を覆う被膜(腎被膜)も尿を押し戻そうとして緊張します。この、尿管のけいれんと腎被膜の緊張により、激しい痛みが起こると考えられています。

尿路結石の痛みのメカニズムは、尿管に結石がたまり、尿が流れなくなると、腎盂の内圧が高まり、尿を押し出そうと尿管がけいれんし、腎被膜が緊張して、激しい痛みが起こります。

尿が流れなくなってしばらくすると、腎臓は一時的に尿の産生を抑制するため、痛みはいったん治まります。その間に結石が膀胱まで落ちれば痛みは完全に消えますが、結石が尿管に留まったままだと、また尿がたまってきて再び疝痛発作が起こります。このように、疝痛発作は1回きりで終わることもあれば、数時間の間隔で続くこともあります。

●血尿や残尿感が出たりすることも
シュウ酸カルシウム結石の表面はギザギザしており、尿管を移動する時に尿管の粘膜を傷つけ、出血することがあります。そのため、尿に血が混じる血尿も尿路結石の症状の1つです。また、下部尿路結石の場合は頻尿や残尿感など、膀胱炎のような症状が現れることもあります。さらに、膀胱結石が尿道に落ちて尿道が詰まると、排尿時の違和感や激しい痛み、尿が出にくくなることがあります。

●発熱している場合は重症度が高い
尿路結石で発熱を伴う場合は、尿路が細菌に感染し、「結石性腎盂腎炎」を起こしている可能性があります。放置すると細菌が血液にのって全身へ広がり、「敗血症」(感染症がきっかけで様々な臓器の機能が障害される、命にかかわる重篤な病態)を引き起こすリスクがあり、緊急処置や手術が行われます。また、左右両方の尿管が結石で詰まっている場合も重症ですので、緊急処置を行います。

尿路結石と間違いやすい病気には、大動脈解離、胃腸炎、腰椎椎間板ヘルニア、膵炎などもあるので、尿路結石を疑ったら泌尿器科か内科を受診し、診察を受けることが大切です。


尿路結石の治療・対処法

●CTなどで結石を検査し、疝痛発作は鎮痛薬で和らげる
尿路結石を疑う場合、問診、尿検査、血液検査、画像検査(レントゲン、超音波、CT)などで尿路結石かどうか、結石のある場所、結石の成分などを診断します。レントゲンに写らない結石もあるので、検査にはCTが使われるケースが多いです。
疝痛発作で激痛が起きている時は、まずは鎮痛薬で痛みを抑えます。鎮痛薬には非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)などが使われますが、腎臓に持病がある場合はアセトアミノフェンが使われます。

●治療には、保存的治療と積極的治療がある
急性期の痛みを抑えた後に行われる尿路結石の治療法には、自然に排石を促す「保存的治療」と、結石を粉砕して除去する「積極的治療」があります。
4mm以下の結石の場合は自然に排出される可能性が高いため、ほとんどの場合、保存的治療が選択されます。逆に4mm以上、特に1cmを超えるような大きな結石の場合には、自然に排出される可能性が低いため、積極的治療が選択されます。

<保存的治療>
結石が小さく、尿路感染や腎機能の低下などの心配がない場合は、結石が尿と一緒に排出されるのを待つ保存的治療が行われます。これは、次のように患者自身が積極的に取り組む必要がある治療です。
積極的な水分摂取
1日2Lを目標に水分をこまめに摂りましょう。水分は水か、シュウ酸含有量の少ない麦茶などがおすすめです。
適度な運動
適度に体を動かすことで、排石を促します。
補助的な薬物療法
以下の薬が処方されることもあります。
・鎮痛薬や鎮痙薬…痛みや尿管のけいれんを軽減します。
・抗菌薬…尿路感染症を合併した場合に処方されます。
・クエン酸製剤…尿酸結石とシスチン結石の場合は、アルカリ性の尿で溶けやすいため、結石を溶かすために処方されます。

<積極的治療>
結石を砕いて取り出す積極的治療には以下の3つの方法があり、結石の部位や大きさによって選択されます。
ESWL(体外衝撃波結石破砕術)…目に見えない衝撃波を体の外から当てて、結石を小さく砕いてから自然排石を促す治療法です。全身麻酔を行わず、1回の治療が60分程度と短時間で行えるので負担の少ない治療法です。
TUL(経尿道的結石破砕術)…尿道から内視鏡を入れて、結石をレーザーなどで砕く治療法です。近年では内視鏡が進化したことから主流になってきています。モニターに映しながら結石を破砕し、カテーテルで取り出すため、より確実性が高い治療法です。
PNL(経皮的結石破砕術)…背中から6mm~1cmほどの穴をあけて内視鏡を挿入し、結石を破砕して直接摘出します。2cmを超える腎結石や複数の結石、硬い結石など、難しい結石の場合に行われます。

尿路結石の治療法には、衝撃波を体の外から当てて、結石を小さく砕くESWL(体外衝撃波結石破砕術)、尿道から内視鏡を入れて結石をレーザーなどで砕くTUL(経尿道的結石破砕術)、背中にちいさな穴をあけて内視鏡を挿入し、結石を破砕するPNL(経皮的結石破砕術)があります。

尿路結石の予防法

尿路結石は再発しやすい病気です。原因となる疾患や遺伝的素因がある場合もありますが、多くは生活習慣によって起きるため、以下のように生活習慣の見直しをしましょう。

●メタボリックシンドロームを予防・改善する
2005年に尿路結石と肥満の関連性を調べた全国疫学調査では、尿路結石患者の男性の40.3%、女性は24.8%に肥満(BMI値25以上)が見られ、結石患者の肥満度は、性別や年齢にかかわらず一般の人より高いことが分かりました。
尿路結石は、肥満の中でも内臓脂肪型肥満との関係が深く、近年ではメタボリックシンドロームの一種であると考えられるようになってきています。規則正しい睡眠、バランスのよい食生活、適度な運動を行い、内臓脂肪を減らし、メタボリックシンドロームを防ぐことが尿路結石の予防にもつながります。

●食事以外に1日2Lの水をこまめに飲み、夏は特に意識する
水分を摂取することは再発防止に重要です。ただし、体質や体格によって難しい場合もあるので、飲水量は主治医と相談して決めましょう。特に夏は発汗による脱水で尿が濃くなりやすく、尿路結石が発症しやすい季節です。夏はいつも以上に意識して水分を摂るようにしてください。
補給する水分は、結石のもととなるシュウ酸の含有量が少ない水や麦茶、ほうじ茶などを薄めたものがおすすめです。玉露などの苦みの強いお茶や紅茶、ウーロン茶、コーヒーなどにはシュウ酸が多く含まれています。また、糖分を多く含むジュースは、尿中へのカルシウムの排出を増やし、結石ができやすくなります。他にも、アルコールは飲んだ後に脱水状態になりやすく、尿が濃くなるため結石につながりやすくなります。

●シュウ酸を体外へ排出するカルシウムなどを積極的に摂る
尿路結石のもととなるシュウ酸や尿酸の摂取はなるべく控えたいところですが、「全て食べられない」となると食事も楽しくありません。そこで、これらと結びついて便に排出する働きのあるカルシウムなどを組み合わせて摂るのがおすすめです。

【結石を防ぐ栄養素】
カルシウム
…食事から摂ったカルシウムは、腸内でシュウ酸と結びつき、不溶性のシュウ酸カルシウムとなって便と一緒に排出されます。便と一緒に排出されるシュウ酸が増えれば、尿へのシュウ酸の排出は抑えられます。
マグネシウムやクエン酸…マグネシウムは腸内でシュウ酸と結びつき、シュウ酸が腸管から吸収されるのを防ぎます。また、クエン酸は尿中でシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムが結晶化するのを防いでくれます。

【結石を招きやすい栄養素】
動物性タンパク質と動物性脂肪
…動物性タンパク質に含まれるプリン体は尿酸となりますが、カルシウム結石の中には尿酸の結晶を核にして結石をつくるものもあります。脂肪酸はカルシウムと結合しやすい性質があり、シュウ酸が結合できるカルシウムを減らしてしまうことにつながります。摂り過ぎには注意しましょう。
プリン体を多く含む食品…レバー、カツオ、マイワシ、アンコウの肝、ビールなどのアルコール。
シュウ酸を多く含む食品…たけのこ、ほうれん草、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ピーナッツ、アーモンド、チョコレートやココアなど。

【食べ合わせの工夫】
例えばシュウ酸の多いコーヒーに、カルシウムが豊富なミルクをたっぷり入れて飲んだり、シュウ酸が多いほうれん草のお浸しには、おかかをのせて食べたりするのもよいでしょう。チョコレートはココア含有量が少なめのミルクチョコレートを選んだり、ビールはプリン体フリーの物を選んだりする……といったように、選び方を工夫すれば、嗜好品も上手に取り入れることができます。

尿路結石を防ぐ食べ合わせの工夫の一例として、シュウ酸とカルシウムが挙げられ、同時に摂ることで余分なシュウ酸を排出します。コーヒー+ミルク、ほうれん草+おかかなどの食べ合わせの他、ミルクチョコレートやプリン体フリーのビールを選ぶなど代替食品を上手に活用しましょう。

尿路結石は生活習慣病の一種ともいえる病気であり、メタボリックシンドロームを予防・改善することで、リスクを減らすことができます。尿路結石の予期せぬ激痛を防ぐためにも、普段から意識して対策を行っていきましょう。


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