鉄分不足度30%のあなたは、油断をするとその影響が体に現れることがあるかもしれません。注意してください。
鉄分の最大の役割は体の隅々まで酸素を運ぶこと。鉄分が不足すると全身が酸欠状態となり、鉄欠性貧血の症状が現れます。動悸や息切れがする、下まぶたの裏側が白っぽい、爪が反り返ってきた、疲れやすく思考力が低下した、体に冷えを感じるなどを自覚したら、それらは鉄欠性貧血の症状です。
鉄欠乏性貧血は女性に多くみられます。それは、月経による出血で鉄分がたくさん失われるためや、過激なダイエットや偏食で鉄分の摂取が不足なためです。女性の方は特に注意していく必要があるでしょう。
鉄欠乏性貧血を予防するには、バランスのとれた食事を1日3回きちんと摂ることが大切です。肉や魚などの動物性食品に含まれるヘム鉄と、緑黄色野菜や豆類などに多く含まれる吸収率のよくない非ヘム鉄を組み合わせて摂るようにしましょう。また、造血作用のある良質のタンパク質や鉄分の吸収をよくするビタミンC、造血作用のあるビタミンB6、B12、葉酸なども積極的に摂るようにするとよいでしょう。
鉄血欠乏性貧血に付随して、冷え性も女性が訴える症状のひとつです。その冷え性を予防・改善するには、いわしやアーモンドなどに多く含まれるビタミンEやさつまいも、大豆などに多いパントテン酸、また、良質のタンパク質などを摂るとよいでしょう。
自治医科大学大学院医学研究科修了。日本消化器病学会認定専門医、日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医、日本抗加齢医学会専門医、米国消化器病学会国際会員。『新しい腸の教科書』(池田書店)他著書多数。