女性が疲れやすい原因は鉄分不足?症状と対策を解説!

女性が疲れやすい原因は鉄分不足?症状と対策を解説!

大正製薬が行った調査(※)では、「慢性的に疲れている」「疲れを感じることが多い」と回答した人は、全体の6割以上に達していました。特に30代、40代では8割にも達しています。日常的に疲れている人が、いかに多いかがうかがえる結果です。
最近疲れやすい、朝起きた時から倦怠感がある、集中力が持続しないなどといった感覚がある場合、その原因として次のようなことが考えられます。
・忙しくて休養が不足し、疲れがたまっている。
・十分な睡眠時間がとれなかったり、睡眠の質が低下していたりする。
・ストレスや病気などの影響で、気力・体力が落ちている。
・食事量の不足や偏った食事、消化吸収機能の低下などで、栄養が不足している。
この他、女性が疲れやすい原因として見落とされやすいものに鉄分不足があります。特に女性は鉄分不足になりやすいので注意が必要です。
女性の疲れやすさや倦怠感と鉄分不足の関係について、食事による対策、医療機関を受診する目安を、貧血外来や女性内科で治療に当たる濱木先生に解説していただきます。
(※)大正製薬「疲れに関する調査」

監修プロフィール
ナビタスクリニック新宿 院長 はまき・たまえ 濱木 珠恵 先生

日本内科学会認定内科医、日本血液学会認定血液専門医。国立国際医療センターでの研修後、虎の門病院、国立がんセンター中央病院にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。都立府中病院、都立墨東病院での血液疾患の治療に従事した後、2016年より現職。自身も貧血であった経験を活かし、貧血外来や女性内科で治療に当たっている。

鉄分不足で疲れやすくなる理由

女性が疲れやすい原因の1つに、鉄分不足があります。鉄は全身への酸素の運搬やエネルギー代謝にかかわる栄養素で、不足すると疲れやすさや倦怠感につながることがあります。ただし、疲れやすさには睡眠不足やストレス、他の病気など様々な原因があるため、鉄分不足と決めつけないことが大切です。

●鉄は全身に酸素を運ぶなど、様々な働きをもつ

赤血球のヘモグロビンが酸素を運ぶ仕組みを示したイラスト

鉄は、赤血球のヘモグロビンの構成成分として、取り込んだ酸素を全身の組織に運搬する働きをもつ他、筋肉中に存在して血液から受け取った酸素を貯蔵したり、酵素の構成成分となってエネルギー代謝や神経伝達物質の産生に役立てられたりします。

●鉄分不足が疲れやすさを招く理由
鉄が不足すると、体中に酸素が行き渡らなくなり、酸欠のような状態になります。不足した酸素を補おうとして心拍数が上がり、エネルギーを消費することで疲れやすさや倦怠感が現れます。
また、鉄は脳への酸素供給や神経伝達物質の産生にも影響するため、精神的な疲れ(イライラや落ち込み、集中力の低下など)にもつながります。

鉄分不足で現れやすい症状はコレ!

鉄分不足になると、疲れやすさや倦怠感をはじめ、次のような症状が現れやすくなります。鉄分不足の可能性をチェックしてみましょう。

<鉄分不足チェックリスト>

・疲れやすくなった
・眠っても倦怠感があり朝起きるのがつらい
・急に立ち上がるとめまいや立ちくらみを起こす
・締めつけられるような頭痛がある
・仕事や勉強に集中できない
・階段や坂道で息切れする
・顔色の悪さや肌のかさつき、シミ・シワが気になる
・抜け毛が増えたり、髪が細くなったりしている
・食欲が湧かない
・筋力や持久力の低下を感じる
・耳鳴りや難聴がある
・爪が変形したり割れやすくなったりしている
・口唇炎や口内炎などができやすい
・食べた物などが飲み込みにくい
・鼻血や歯茎からの出血がある
・小さなことでイライラしたり落ち込んだりする
・手足の冷えやむくみがつらい
・経血量が多い、生理痛がひどいなど生理の症状が重い
・無性に氷が食べたくなる

ただし、症状だけで鉄分不足と判断できるわけではありません。また、鉄分不足には何らかの病気が隠れている可能性もあります。これらの症状が複数見られたり、症状が重かったりする場合は、一度内科や消化器内科、婦人科を受診し、血液検査などを受けて原因を調べてみるとよいでしょう。

鉄分不足が起こる3つの原因

鉄は食べ物から補えますが、鉄分不足は、「鉄の摂取量が足りない」だけでなく「鉄を失う」「鉄を吸収できない」ことも影響し、これらのいずれか、または複数が重なって起こります。

●鉄の摂取量が足りない
食べる量が少なかったり、偏った食事を続けたりすると、鉄の摂取量が足りなくなります。また、体が成長する子ども、月経のある女性や妊娠・授乳中の女性、激しいスポーツをしている人などは、より多くの鉄が必要となるため不足しがちに。女性は男性よりもダイエットに励むケースが多く見られますが、ダイエットによる栄養バランスの乱れや食事量の減少も鉄の摂取量不足の原因になります。

●鉄を失う
鉄は、体の成長、月経や妊娠・出産・授乳、出血性の病気、大量の汗などで失われます。

●鉄を吸収できない
加齢や自律神経の乱れによる消化機能の低下、病気や服薬などにより、食べた物から鉄が十分に吸収できなくなることがあります。

※詳しくは、疾患ナビ「鉄分不足」でご確認ください。

鉄分不足になりやすい人とは?

「鉄の摂取量が足りない」「鉄を失う」「鉄を吸収できない」といった、鉄分不足の原因から、次のような人は鉄分不足になりやすいと考えられます。

<鉄分不足になりやすい人>
・月経がある女性
・妊娠中や授乳中の女性
・成長期の子ども
・食が細い人やダイエットをしている人、偏った食事をしている人
・消化機能が低下している人
・病気がある人や薬を服用している人
・スポーツをしている人

●30、40代女性は鉄分不足に注意

時間に追われている女性の画像

30、40代は経血量が増える子宮筋腫のリスクが高くなります。また、40代後半になり閉経が近づくと経血量が増える人も。これらのことから、30、40代は鉄が失われやすい世代といえます。さらに、30代は結婚・出産などのライフイベントがあり、仕事や家事、育児に追われるようになること、40代は仕事での責任が増したり更年期症状が現れ始めたりすることも、心身の疲れにつながります。
とはいえ、50代以降になれば疲れにくくなるわけではありません。体力の衰えを感じ始め、子どもの独立や親の介護などが加わって生活が変化することも。50代半ばまでは月経がある人も多いので、疲れやすさや倦怠感の改善に、鉄分不足にならないよう注意しておくことをおすすめします。

鉄分不足に関するよくある誤解

鉄分不足は誤った認識もされやすく、自分とは無関係だと思われたり、軽視されたりするケースも多く見られます。鉄分不足やそれに伴う疲れやすさや倦怠感は、誰にでも起こるものであり、放置してよいものではありません。不調の原因として、鉄分不足の可能性も意識しておくとよいでしょう。

●鉄分不足は女性だけの問題ではない
多くの女性が悩まされている鉄欠乏性貧血。そのため鉄分不足は女性が陥るものとのイメージが強いのが実情です。体の仕組みなどから女性のほうが鉄分不足になりやすいのは確かですが、鉄が多く必要になる成長期や、病気のリスクが高まり体の機能低下も見られる老年期、習慣的に激しいスポーツをしている人などは鉄分不足に陥りやすく、男性も決して無関係ではありません。

●不定愁訴と間違えられやすい
鉄分不足で起こる疲れやすさや倦怠感、動悸やめまい、気分の浮き沈みは、不定愁訴(原因が分からない不調)と共通する部分が多く、ストレスやホルモンバランスの変化に起因するものと見なされてしまう場合があります。

●低血圧と混同されやすい
鉄分不足で起こる疲れやすさや倦怠感、めまい、立ちくらみは、低血圧でも起こるため、混同されることがあります。鉄分不足ではヘモグロビンの濃度が低下し体が酸欠になりますが、低血圧は血液を送り出す力が低下して脳の血液や酸素が不足するものであり、実際は無関係です。なお、朝礼で倒れる、朝の通勤電車で座り込んでしまうといった場合、鉄欠乏性貧血のせいだと思われがちですが、実は起立性低血圧を併発している人も多く見られます。

●月経による鉄分不足は当たり前?
月経がある女性は、自身が鉄分不足や貧血になっても、それが当たり前だと思ってしまいがちです。でも、決して当たり前のことではありません。そのつらさの改善のため、食生活の見直しなどのセルフケアや医療機関での治療に取り組むべきものです。

食事で鉄を補うには? おすすめの食品や食べ方のコツ

鉄分を補う食事についてのイメージ画像

鉄分不足の対策の基本は、食生活の見直しです。栄養バランスのよい食事を、1日3食、規則正しく摂ることを心がけましょう。併せて、鉄を補う食事も意識してください。

●鉄を補う食べ物を摂ろう
鉄は、主に動物性食品に含まれ、タンパク質と結合する「ヘム鉄」と、植物性食品や卵、乳製品に含まれる無機鉄の「非ヘム鉄」に分類されます。この2つをバランスよく摂ることが大切です。
<ヘム鉄の多い食品>
豚や鶏などのレバー、ヒレ肉や馬肉など赤身の肉、カツオやマグロなどの赤身の魚、アサリやシジミなどの貝類
<非ヘム鉄の多い食品>
納豆などの大豆加工品、小松菜やほうれん草、青のりやひじきなどの海藻類、卵

※特集「健康おうちごはん」では、貧血予防に役立つベジ薬膳「ほうれん草と鮭のバターポン酢炒め」をご紹介しています。ぜひご参考にしてください。

●甘い物が食べたくなったらフルーツをおやつに
フルーツ(ラズベリー、いちごなど)やドライフルーツ(レーズン、ドライあんず、ドライいちじくなど)、ジャム(ぶどうジャム、いちごジャム)は、鉄を多く含んでいます。甘いおやつが欲しくなったら、糖質に注意しつつ取り入れるとよいでしょう。

●鉄を補う食べ方のコツ3選
①非ヘム鉄は食べ合わせに工夫を
吸収率の低い非ヘム鉄は、良質なタンパク質を含む肉や魚、ビタミンCを多く含むブロッコリーやいちごなどと一緒に摂取すると吸収率がアップします。
②よくかんで食べる
適切な量の食事をよくかんで食べると、胃酸が分泌され、鉄が吸収されやすくなります。梅干しや酢の物など酸味のある物や香辛料も、消化促進に役立ちます。
③吸収率を阻害する物に注意
コーヒーやお茶に含まれるカフェインやタンニン、穀物の外皮などに含まれるフィチン酸、ほうれん草などに含まれるシュウ酸、インスタント食品や加工食品に含まれるリン酸は、鉄の吸収を抑制します。鉄分不足が疑われる場合は摂取を控えましょう。なお、ほうれん草は非ヘム鉄を含む食材でもあるので、下ゆでしてシュウ酸を除いてから食べるのがおすすめです。

●食べ物以外で鉄を補う方法にも注目!
鉄製のフライパンや鍋、鉄瓶を使うことでも鉄を補給できます。鉄玉子などと呼ばれる球体の鉄を活用してもよいでしょう。また、食事からの摂取が十分でない場合は、鉄を補えるドリンク剤やサプリメントなどを補助的に活用するのも一案です。
<サプリメントを使用する場合の注意点>
鉄は必要以上に体内に吸収されないので、通常の食事で過剰になることはまずありません。しかし、肝機能に異常が生じると、必要以上に吸収・蓄積されて鉄過剰症を起こしたり、亜鉛の吸収を阻害したりする場合があります。肝炎や脂肪肝などがある場合は、鉄を多く含むサプリメントなどの使用は注意しましょう。
また、サプリメントは鉄分不足や鉄欠乏性貧血の予防には役立っても治療にはならないことを忘れずに。鉄欠乏性貧血の人は医療機関で治療を受けるようにしましょう。

疲れやすい場合の受診の目安

疲れやすい女性のイメージ画像

疲れやすさや倦怠感は、休めば治まると放置されがちな不調ですが、鉄分不足以外にも様々な原因が考えられます。特に女性は、甲状腺機能の異常や更年期症状のケースも多く見られます。次のような場合は、自己判断は避け、内科や消化器内科、婦人科を受診し、原因を明らかにして適切な治療や生活指導を受けるようにしましょう。
<医療機関の受診が必要になる目安>
・疲れやすさが増している
・強い倦怠感が長期間続いている
・ひどい息切れや動悸、めまいなどがある
・月経の経血量が多い
・原因不明の出血がある
・食生活を改善したりサプリメントを使用したりしても症状が続く
・日常生活に支障が出ている

女性の疲れやすさを放置しないために

疲れやすくても倦怠感があっても、「そんなものかな」と思ってしまう女性は意外と多いものです。でも、きちんとケアすればつらさを和らげることは可能で、毎日をより快適に過ごせるようになります。我慢する必要はありません。自分の体をしっかりいたわってあげましょう。

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