尿もれは高齢者だけのもの? いいえ、誰にでも起こりうるものです。その原因と自分に合ったケアを知り、症状の改善や予防に努めましょう。
山形大学医学部卒業、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学修了。医学博士。2005年横浜元町女性医療クリニック・LUNA開設。理事長として世界標準の女性医療と、女性たちによる自助的な医療の実践を目指している。横浜市立大学医学部泌尿器病態学講座客員教授、インターネットサイト フェムゾーンラボ社長(https://www.femzonelab.com)
女性医療クリニックLUNA
https://www.luna-clinic.jp/
尿もれは「国際女性病」と言ってもいいほど、世界中の女性の悩みの種。でも、「恥ずかしくて人に話しにくい」「どこに相談したらいいのか分からない」という女性も多いのが実態です。まずは次のチェックリストで、自分の状態を把握してみましょう。
様々な調査から、尿もれをする人は女性のほうが男性よりも多いことが分かっており、40歳以上の女性の約2人に1人は尿もれに悩んでいるとされます。どうして男性よりも女性に多いのか、その理由は大きく分けて3つあります。
妊娠・出産を経験していない若い世代でも、尿もれに悩む人は少なくありません。その理由として、運動習慣の減少、いすでの生活、洋式トイレの使用などライフスタイルの変化が挙げられます。こうした生活では骨盤底筋があまり使われず、骨盤底が緩んでしまうのです。また、骨盤底が遺伝的に柔らかい人もいて、中には15、16歳から尿もれを経験する人もいます。
尿もれはいくつかの種類に分けられますが、女性の尿もれの95%は、腹圧性尿失禁、過活動膀胱、混合性尿失禁の3つが占めています。そのうち50%が腹圧性尿失禁、25〜30%が過活動膀胱、20〜25%が混合性尿失禁になります。いずれも原因や症状、治療法が異なりますので、自分がどのタイプかを見極め、適切な治療を受けることが大切です。
Introductionに掲載した尿もれチェックリストで10点以上だった場合は、女性泌尿器科や婦人科、内科を受診しましょう。ただ、病院に行く判断基準として最も大切なのは、生活の質(QOL)を損なっているかどうかです。尿もれのためにスポーツなどの大好きな趣味を諦めたり、尿もれが原因で気分が沈み外出できなくなったりしている場合は、病院での治療をおすすめします。
実は排尿は、気持ちを安定させるセロトニンや心地よさを感じさせるノルアドレナリンといった脳内の神経伝達物質と関連があり、尿トラブルを長く抱えているとうつ病を患ってしまう場合も。そのため膀胱は心の鏡ともいわれています。その不調を軽んじないようにしましょう。尿もれの量が少ない場合はQ5で紹介するセルフケアに取り組んでみてください。
尿もれに悩む女性が40代から増えるのには、次の理由があります。
骨盤底障害とGSMは同じデリケートエリアに発症し、症状も悪化する年代も重なりますが、骨盤底障害は筋肉や筋膜の問題なのに対してGSMはそれよりも表層にある皮膚や皮下組織、粘膜の問題になります。
加齢と共に女性ホルモンが減少するとコラーゲンやエラスチンも減り、皮膚のハリや弾力が失われ、乾燥してしまいます。顔や手は目につく部分ですが、同じように腟まわりの皮膚や粘膜にもたるみや乾燥が起こり、これがGSMの原因になるのです。
症状が軽度で生活の質を損なっていなければ、病院に行く必要はありません。次のようなセルフケアでしっかり改善を図りましょう。
尿もれを防ぐためには、生活の様々な面で改善すべき点があります。主なものとして3つご紹介します。
尿もれは治せます。
日々の生活を楽しむために女性泌尿器科などに相談を!