健康ウォーキングを始めよう

ウォーキングは誰でも手軽に始めることができて、健康効果の高い運動です。ウォーキングを継続することで、ダイエットや肥満解消、体力の増強、肩こり、腰痛の改善を始め、様々な効果が得られます。将来の寝たきりの原因となるメタボリックシンドロームやロコモティブシンドロームの予防・改善にも有効です。気持ちよく歩いて、健康を手に入れましょう!

ウォーキングで要介護の大きな要因「メタボ」と「ロコモ」を防ぎ、健康寿命を延ばそう

「平均寿命」のうち、健康に問題がない状態で活動的に暮らせる期間を「健康寿命」といいます。2013年度から2022年度の21世紀における第2次国民の健康づくり運動「健康日本21(第2次)」(厚生労働省)では、健康寿命を平均寿命の延び率以上に延ばすことを目標に掲げています。

平均寿命と健康寿命

下の円グラフを見ると、介護が必要になった人の約25%がメタボリックシンドローム(通称:メタボ)関連疾患、約20%が骨や関節・筋肉など運動器の衰えが原因となるロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)関連疾患で、合わせると要介護の原因の半数近くになります。日頃の運動習慣はこれらの予防に有効です。

要介護の原因

手軽に始められるウォーキングには、どのような効果があるの?

ウォーキングは誰でも手軽に始めることができる有酸素運動です。有酸素運動とは、体に過度の負担をかけることなく、酸素を取り込みながら行う全身運動のこと。ウォーキングを継続することで、次のような健康効果が期待できます。

●ダイエット・肥満解消……取り込んだ酸素を細胞や組織に行きわたらせ、効果的に体脂肪を燃焼する。
●体力の増強……循環器が鍛えられ、心肺機能が向上することで体力がつき、疲れにくくなる。
●肩こり、腰痛の改善……血行がよくなり、疲労物質の代謝が促される。
●自律神経を整える……呼吸を意識的に行うことで交感神経、副交感神経が刺激され、バランスが整う。また、血行がよくなり、リラックス効果が得られる。
●便秘解消……血行と新陳代謝がよくなり、消化器官の働きが活発になる。

ウォーキングの健康効果

【脳の健康にも役立つウォーキング】
有酸素運動を一定時間行うと、脳に酸素が行きわたり頭がすっきりしてきます。また、幸福を感じるホルモンであるセロトニンが分泌され、精神の安定が得られます。外を歩くことで気分転換になるなど、ウォーキングはストレス対策にも有効です。さらに、ウォーキングを続けることで認知機能が改善することや認知症予防にも効果的であることが分かっています。

脳の健康

ウォーキングの基本フォームは、正しい姿勢と着地の仕方がポイント

ウォーキングに特別な技術はいりませんが、正しいフォームを心がけることで、けがを予防し、効率よく運動効果を得ることができます。次のポイントを意識して歩きましょう。

●姿勢……お腹を締めて、軽く胸を張る。腰が反り過ぎないように注意する。
●視線……あごを引き、視線は前方へ。
●腕……肩の力を抜き、ひじを軽く曲げる。手を軽く握って前後にスムーズに振る。
●歩幅……太めの一本線上を歩くイメージで、大股で歩く。
●着地……かかとから着地し、つま先に向かって足裏全体を使って重心を移動し、つま先で地面をける。

その他、シューズ選びも大切です。クッション性がよく、自分の足のサイズに合ったものを着用しましょう。

正しいフォームで歩こう

心地よく汗ばむ程度のペースを目安に歩こう

ウォーキングでより健康効果を得るには、日常の歩行よりもやや高い強度で、継続的に行うことが大切です。
具体的には、次の点を満たす強度を目安にしましょう。

●運動中、正しい姿勢を保つことができる。
●ややきついと感じる。
●心地よく汗が出る。

やや速めのウォーキングは、身体活動の強さを表す単位であるメッツの「4」に相当します。「健康づくりのための身体活動基準2013」(厚生労働省)では、18~64歳の健康維持・増進には、3メッツ以上の強度の運動(4メッツ推奨)を毎週60分行うことが望ましいとしています。また、全世代を通して強度を問わず30分以上、週2日以上の運動習慣をもつことをすすめています。
推奨強度を満たし、かつ自分のペースで行うことができるウォーキングは、世代を問わず健康に役立つ運動といえます。
無理のないペースで始め、慣れてきたら徐々に時間や強度を高めていくようにしましょう。

メッツ(METs)とは

開始前はストレッチを必ず行って

まずは、自分の今の体調を確認しましょう。疲れがたまっていたり、寝不足などで少しでも体調に不安があったりする時は無理をしないことが大切です。
そして、歩き出す前には必ず準備運動としてストレッチを行います。ストレッチは体を温め、硬くなっている筋肉をほぐすことで運動中のけがを予防します。いきなり歩き出してしまうと、筋肉や関節を傷める原因になりますので、特に筋肉が緊張している朝や寒い日などは、ゆっくりと丁寧に行うよう心がけましょう。
ストレッチを行う際のポイントは次の通りです。

●呼吸を止めない。
●反動をつけず、ゆっくりと行う。
●痛いと感じない程度に、適度に伸ばす。

ストレッチはけがを防ぐだけでなく、筋肉や関節の柔軟性や血流をよくし、運動効率を高める効果もあります。ウォーキング前には、下半身を中心にしっかりと伸ばしておきましょう。

ウォーキング前のおすすめストレッチ

ウォーキングで、メタボ対策をしよう

メタボリックシンドロームを予防、改善するには内臓脂肪の過度な蓄積を防ぐことが最も重要です。
内臓脂肪とは、内臓の周囲や腹腔の内面につく脂肪のことで、エネルギーの貯蓄だけでなく、生活習慣病に関係する様々な生理活性物質を分泌しています。内臓脂肪が増加すると、生活習慣病を招く生理活性物質の分泌量が増加し、逆に生活習慣病を防ぐ生理活性物質は減少します。これにより脂質異常症や高血圧症、糖尿病、動脈硬化といった生活習慣病のリスクが高まります。

内臓脂肪を減らすには、食生活の改善と共に、体に酸素を取り入れて脂肪を燃焼させる有酸素運動が効果的です。特にウォーキングは足腰への負担が少なく、続けやすいことからもおすすめの運動です。また、ウォーキングにはストレスを解消する効果があることも、メタボ対策に有効とされる理由です。

ウォーキングでメタボ対策を

【メタボとロコモは関係がある!?】
最近の研究により、メタボリックシンドロームの人はロコモティブシンドロームのリスクが高いことが分かってきました。肥満の人は腰や膝へ過剰な負担がかかり、ロコモを誘発します。腰や膝が痛むことで体を動かさずにいると、それが原因でさらに体重が増え、腰や膝の痛みが増す、という悪循環に陥ります。運動や食習慣を見直し、早期にこの悪循環を断ち切ることが大切です。

メタボとロコモの関係

「ウォーキング+筋トレ」でロコモを予防しよう

加齢により運動器(筋肉、骨、関節、神経)の機能が低下し、移動や日常生活に支障を来すことをロコモティブシンドロームといいます。将来、寝たきりや要介護になる可能性が高い状態です。
骨や筋肉量のピークは20~30代。40代からは筋力低下が目立ち始め、予防、対策を行わないと、60代以降に思うように動けなくなってしまう可能性が高まります。
ロコモ予防に最も大切なことは運動習慣です。しかし、加齢による筋力の低下はウォーキングだけでは防ぐことができません。骨や筋肉は、筋力トレーニングなどの運動で刺激を与えることで強くなります。
ウォーキングに加えて下肢を鍛える筋力トレーニングを行うようにしましょう。

立ち上がりテスト
2ステップテスト

ロコモ予防のおすすめ筋トレは「下半身」がポイント

ロコモ予防に有効なトレーニングには、次のようなものがあります。

●スクワット……下肢筋力(太もも)の強化。
●カーフレイズ……下肢筋力(ふくらはぎ)の強化。
●フロントランジ……下肢全体の柔軟性、バランスの向上、下肢筋力の強化。

下肢を鍛える筋力トレーニング

これらに加え、次のような運動もロコモ対策になります。

●片脚立ち
●ストレッチ
●背筋運動
●ラジオ体操

日常生活でもエレベーターやエスカレーターではなく階段を使う、掃除や洗濯をきびきびと行うなど、積極的に体を動かしましょう。
無理をせず、自分のペースで運動を続けることが大切です。治療中であったり、体調に不安がある時は医師に相談してから行うようにしましょう。

足腰に痛みを感じたらやめたほうがよい?

以前は、運動器に痛みがある場合は運動をせずに安静を保つというのが一般的でした。しかし最近では、特定の疾患がない場合には、体を動かしたほうが痛みは軽くなることが分かっています。
ウォーキング中に膝や腰などに痛みを感じたら、次を目安に対処の判断をしましょう。

●ウォーキング後、30分以内に痛みが引いた場合……継続して行ってよい。
●ウォーキング後、30分経っても痛みが引かない場合……3日~1週間休み、痛みが引いたら再開してよい。始めは運動量を軽くして様子を見る。
●1週間経っても痛みが引かない場合……整形外科を受診する。

ただし、疾患を抱えていたり痛みが気になる時は、我慢せずに早めに整形外科を受診するようにしましょう。

ウォーキング中に痛みを感じたら

ウォーキングを続けるためのコツは?

ウォーキングを健康維持・増進や病気の予防・改善に役立てるには、日々継続して行うことが大切です。嫌々、重い腰を上げて行っているようでは長続きしません。次のような継続のコツをヒントに取り組んでみてはいかがでしょうか。

●日常生活に組み込む……通勤や買い物などの移動を歩きに変える。休み時間を活用する。
●頑張り過ぎない……1週間単位で目標を定めるなど、柔軟な目標をもつ。
●周りを巻き込む……家族や友人と一緒に始める他、ウォーキングをしていることを他人に公言する。
●プラスαの楽しみをもつ……写真を撮りながら歩いたり、イベントへ参加する。
●記録をつける……歩いた歩数や距離、気づきなどを記録する。

ウォーキング継続のコツ

ウォーキングを習慣にするコツは、楽しみを見いだすこと。メタボとロコモの予防に、ぜひ今日から楽しく始めてみませんか?


この記事はお役に立ちましたか?

今後最も読みたいコンテンツを教えてください。

ご回答ありがとうございました

監修プロフィール
伊奈病院整形外科部長 いしばし・ひであき 石橋 英明 先生

1988年東京大学医学部卒業。96年同大学院医学研究科学位取得。99年東京健康長寿医療センター整形外科医長。04年より現職。日本整形外科学会「ロコモチャレンジ!推進協議会」委員、NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表理事、日本骨粗鬆症学会評議員。

監修プロフィール
伊奈病院整形外科部長 いしばし・ひであき 石橋 英明 先生

1988年東京大学医学部卒業。96年同大学院医学研究科学位取得。99年東京健康長寿医療センター整形外科医長。04年より現職。日本整形外科学会「ロコモチャレンジ!推進協議会」委員、NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表理事、日本骨粗鬆症学会評議員。

健康情報サイト