脳のストレス度をセルフチェック!雑念を捨てて脳をリセット

4月は慌ただしく心身共に疲れがたまりやすい季節。多忙な時こそ上手に脳を休息させ、ストレスをためないことが大切です。脳を休ませるコツを伺いました。

まずはあなたの脳のストレス度をセルフチェックしてみよう

脳のストレス度のチェックシート

ストレス脳に「脳トレ」は禁物

ストレスがある状態は、人間の思考を司る、脳の前頭葉(ぜんとうよう)の活動が過剰になっている状態であることがこれまでの脳科学研究で明らかになっています。ストレスが重なると、重い肩こりや頭痛などの症状が現れる他、判断力や思考力、記憶力が低下しやすくなります。

物忘れが多くなるとつい脳を鍛えようと脳トレに走りがちですが、ストレス脳には逆効果。情報過多の生活で〝思考中毒〟に陥っている現代人の脳はむしろ積極的に休息させて、前頭葉の活動をクールダウンさせなければなりません。

では、どうしたら前頭葉を休息させられるのでしょうか。「考えちゃダメ」なんて思うと、あれこれと考えてしまうのが人間というもの。そんな時、カギとなるのが、何かに没頭する集中力です。

「考えない集中力」が前頭葉を休ませる

集中力には「考える集中力」と「考えない集中力」の2種類があります。前者は計算をしたり、アイデアを練ったりして何かを生み出す時に発揮され、後者は目の前のことに没頭している時の集中力です。両者には前頭葉の活動に違いがあるのです。

例えば、いくつも言葉を考えてもらう語想起(ごそうき)という課題に取り組んでもらうと前頭葉の活動がどんどん活発になっていきます。しかし、車の運転シミュレーションゲームをしてもらう実験では前頭葉の活動が落ち着き、クールダウンした状態に(下図)。ちなみに、雑念があると前頭葉の活動が波打つように乱れます。

運転シミュレーション中に前頭葉の活動が落ち着くのは、運転に集中するために雑念がなくなったことが考えられます。つまり、運転シミュレーションが「考えない集中力」をサポートすることにより、雑念による前頭葉の活動をクールダウンし、リラックス効果をもたらしたと考えられます。

集中力と前頭葉の活動の関係のグラフ

体の動きや環境が脳に与える効果とは?

「考えない集中力」を活かした脳の休息法には様々なものがあります。近年幅広い世代に人気の坐禅もその1つ。自分の呼吸と体の状態に意識を集中させ、雑念を取り払います。

また海外で注目されている「マインドフルネス」は、“今この瞬間”の体験や心の動きに意識をフォーカスして1つのことに集中する手法です。西洋坐禅ともいわれ、いつでもどこでも実践できるのが特徴。実践するうちに、雑念やストレス下でのマイナスな思考にとらわれない状態を維持できるようになるといわれています。最近の研究ではストレス緩和や、それに伴う高血圧の改善効果も明らかになってきています。

その他、部屋の片づけ術「断捨離(だんしゃり)」も雑念を捨てるのに有効。断捨離はヨガの考え方を基に、人生や生活に不要な物を断ち、捨て、執着から離れることで身軽で快適な生活を手に入れる片づけ術です。人間が得る情報の約80パーセントは目を介したもので、その情報を脳が処理して初めて映像となります。ですから脳科学の視点からいえば、雑然とした環境は脳を疲弊させる原因に。環境を整え視覚から脳をすっきりさせるのもよい方法です。また、東洋医学に「心身一如(しんしんいちにょ)」――心と身体は一体であるという意味の言葉があるように、身体と脳には深い関係があると考えられます。捨てる行為を脳が自覚することで、脳自身も雑念を捨てやすくなるといえます。

Let's! 坐禅&断捨離

その日の疲れやストレスはその日に解消したいもの。日常生活の中に坐禅や断捨離を取り入れ、脳をリセットしませんか。

●座禅

静かな部屋で、姿勢を正しあぐらを組む。目は半眼にして、ゆっくり呼吸を数えると集中力もアップ。

座禅

●断捨離

まずは簡単にできる場所から始めるのが◎。物を「使っている物」「使っていない物」「どちらでもない物」に分類し、「使っていない物」を捨てる。「どちらでもない物」は少し期間を空けてから再仕分けして、使っていない物を処分しよう。

断捨離

●マインドフルネス

“今自分に起きていること”に意識を向けよう。お腹の動きを意識して、呼吸をする。その間、様々な感情が湧いても否定も肯定もせず、その感情をただ眺めるようにする。

マインドフルネス

1日わずかな時間で構いませんから、坐禅や断捨離を通して脳を休息させる機会をつくりましょう。継続は力なり。脳を休息させることを習慣化すれば、自ずとストレスをため込まない脳に変化していくことでしょう


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監修プロフィール
東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻 さかたに・かおる 酒谷 薫 先生

大阪医科大学大学院修了後、ニューヨーク大学医学部脳神経外科助教授などを経て、2003年より日本大学医学部教授。12年には同大学工学部教授・次世代工学技術研究センターセンター長に就任。2019年より東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻 特任教授に就任(現共同研究員)。日本初の「脳の健康外来」を設立。著書に『東洋医学が教える脳の「養生法」』(実業之日本社)、『脳は鍛えるな! 海馬を元気にする食事と運動』(講談社+α新書)などがある。医学博士。工学博士。

監修プロフィール
東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻 さかたに・かおる 酒谷 薫 先生

大阪医科大学大学院修了後、ニューヨーク大学医学部脳神経外科助教授などを経て、2003年より日本大学医学部教授。12年には同大学工学部教授・次世代工学技術研究センターセンター長に就任。2019年より東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻 特任教授に就任(現共同研究員)。日本初の「脳の健康外来」を設立。著書に『東洋医学が教える脳の「養生法」』(実業之日本社)、『脳は鍛えるな! 海馬を元気にする食事と運動』(講談社+α新書)などがある。医学博士。工学博士。

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