ニキビは皮膚の慢性炎症性疾患の1つです。毛穴に皮脂が詰まってしまった状態がニキビの始まりとなります。皮脂の分泌が盛んな思春期に悩まされる人が多く、日本では9割以上の人が経験する疾患であることから「ニキビは青春のシンボル」ともいわれます。しかし、悪化すると赤みや痛みが生じ、放っておくと痕が残ってしまうこともあります。大人になってからのニキビは思春期のニキビとは区別され、原因も複雑で、女性にできることが多いです。
1988年藤田保健衛生大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室助手、同大学医学部漢方医学センター助教、WHO intern、慶應義塾大学薬学部非常勤講師、北里大学薬学部非常勤講師、首都大学東京非常勤講師などを経験。2013年芝大門 いまづクリニック開設。北里大学薬学部非常勤教員。著書に『風邪予防、虚弱体質改善から始める 最強の免疫力』(ワニブックス)など。
ニキビは毛穴に皮脂が詰まることや、はがれた角質がたまることにより生じます。皮脂が毛穴に詰まっているだけの状態は「面皰(めんぽう)」と呼びますが、皮膚の常在菌であるアクネ菌(ニキビ桿菌)が増えると炎症を引き起こし、ニキビとなってしまいます。皮脂の分泌が多いTゾーンにニキビは出やすい傾向があります。
通常アクネ菌は悪い作用をもたらしませんが、過剰な皮脂、酸素の少ない閉鎖された場所を好むため、面皰の中だと繁殖しやすいのです。このような状態を引き起こす主な原因は、次のようなことが考えられます。
大人になってもニキビができやすかったり、大人になってから初めてニキビに悩まされたりする人もいます。睡眠不足やストレス、不摂生などにより、ホルモンバランスが乱れ、皮脂の分泌が過剰になったり、肌の新陳代謝が乱れたりすることが絡み合い、大人のニキビができると考えられています。また、女性ホルモンが変動する生理前にニキビが悪化する傾向もあります。フェイスラインや口周りに症状が出やすいのが特徴です。
ニキビの初期症状は、毛穴に皮脂が詰まった「面皰(めんぽう)」という状態。この状態でアクネ菌が繁殖し炎症を起こすと赤く腫れ、患部が化膿し、膿がたまった袋ができたり、皮膚が硬くなったりすることもあります。強い炎症状態を放置していると、にきび痕が残ることも。まずは炎症症状の変化を理解し、適切に受診しましょう。
ニキビは慢性炎症性疾患という病気、悪化させないためにも早めの治療が大切です。軽視してしまうと数年間にもわたって症状が続き、悪化させると痕が残ることもあります。その痕が心理的な影響を及ぼすことも。面皰が炎症を起こした「赤ニキビ(丘疹)」が見られ始めたら、皮膚科を受診しましょう。 医療機関では、症状に合わせて、毛穴の詰まりに効果がある薬(アダパレン)や炎症に有効な抗生物質の塗り薬、飲み薬を組み合わせて治療していきます。その他の治療方法としては、漢方薬や健康保険の適用はありませんがケミカルピーリングなどもあります。
ニキビ予防・改善は、まず皮膚を清潔に保ち、必要以上に皮膚に触れず、毛穴をふさがないようにすることが大切です。
大人になってからのニキビは、ホルモンバランスの乱れが引き金になっていることが多いといわれています。ホルモンバランスが崩れる主な原因に「ストレス」があります。けれども仕事や人間関係など、人生に多少のストレスはつきものです。だからこそ上手に発散する場を見つけておきましょう。例えば、熱中できることに没頭したり、旅に出て非日常体験をしたりなど。自分に合うストレス発散方法を楽しみながら見つけることが、ニキビ予防の一手となるでしょう。