日焼け・シミ・そばかす

日焼け・シミ・そばかす

紫外線の刺激によって、皮膚がやけどを起こした状態が「日焼け」。そして、紫外線から皮膚を保護するために発生したメラニン色素が皮膚に沈着してしまうと「シミ」になります。遺伝的な要因で顔や腕などにできる褐色の斑点が「そばかす」で、そばかすは紫外線によって色が濃くなります。

監修プロフィール
芝大門 いまづクリニック院長 いまづ・よしひろ 今津嘉宏先生

1988年藤田保健衛生大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室助手、同大学医学部漢方医学センター助教、WHO intern、慶應義塾大学薬学部非常勤講師、北里大学薬学部非常勤講師、首都大学東京非常勤講師などを経験。2013年芝大門 いまづクリニック開設。北里大学薬学部非常勤教員。著書に『風邪予防、虚弱体質改善から始める 最強の免疫力』(ワニブックス)など。

日焼け・シミ・そばかすについて知る


日焼け・シミ・そばかすの原因

「日焼け」は紫外線で皮膚がやけどをすると起こる

日焼けを引き起こす紫外線は太陽光に含まれる光線の1つで、波長の長いほうからUV-A、UV-B、UV-Cに分けられています。波長が短いほどエネルギーが強く、人体に及ぼす影響も大きくなります。ちなみにUV-Cは地表まで届きません(下記参照)。

日焼けした肌は健康的なイメージがあるかもしれませんが、実際は紫外線による刺激で皮膚にやけどが起こっている状態。日焼けは専門用語で「日光皮膚炎」と言います。

皮膚に紫外線が当たると、メラノサイトという細胞から、皮膚を保護するメラニン色素がつくられます。このメラニン色素が、紫外線の皮膚内部への侵入を防ぐために表皮に運ばれると、皮膚の色が黒くなり、日焼けした状態となります。

紫外線とやけど

日焼けをすると遺伝子を傷つける

強いエネルギーをもつUV-Bは、皮膚細胞に入り込み、細胞内の遺伝子に傷をつけます。通常であれば、遺伝子についた傷は数日で自然に修復されますが、強い日焼けによって細胞に多量の傷ができると、修復が追いつかずに傷が残ってしまいます。その傷によって誤った遺伝情報(突然変異)が生じることがあり、それが皮膚がんの原因になると考えられています。

紫外線は免疫機能を低下させる作用もあり、がん細胞を排除する力が弱まることも皮膚がんを助長する一因となっています。


「シミ」は紫外線ダメージの蓄積で起こる

一般にシミは、長期間にわたり少しずつ紫外線を浴びた皮膚細胞に蓄積されたメラニン色素が原因でできるもので、これを「日光性色素斑」と呼びます。紫外線を浴びると、メラノサイトが刺激され、皮膚を保護するメラニン色素が生まれます。通常メラニン色素は皮膚のターンオーバー(代謝機能)によってはがれ落ちますが、メラニン色素が産生され続けて沈着してしまうと、シミとなって現れます。

シミは他にも、ホルモンバランスの乱れが原因の「肝斑(かんぱん)」や、ニキビやけがの跡をこすったりすることが原因の「炎症後色素沈着」などがあり、それぞれ紫外線に当たると悪化します。

肌のターンオーバーの関係

「そばかす」は遺伝的な要因で起こる

そばかすもシミの一種で、正式名を「雀卵斑(じゃくらんはん)」と呼びます。そばかすは遺伝的な要因によって若い頃から見られ、色白の人に多いといわれています。


日焼け・シミ・そばかすの症状

「日焼け」をすると肌が赤から黒へ変化

日焼けの第一段階として、スキンタイプなど個人による違いはありますが、一般的に、紫外線に当たった数時間後から、肌が赤くなる「サンバーン」が現れます。ひどい日焼けの場合は、皮膚の表面が炎症を起こして赤くなり、さらに水ぶくれを起こすこともあります(主にUV-Bが原因)。肌が赤くなるサンバーンが消えた数日後には、肌が黒くなる「サンタン」が現れ、日焼けは数週間から数カ月続きます(主にUV-Aが原因)。

日焼けの種類

「シミ」は種類によって症状が異なる

一般的なシミである「日光性色素斑」は、頬やこめかみ辺りにできやすく、薄茶色をしています。紫外線が原因で生じ、一度できてしまうと基本的にはシミは消えません。

「肝斑」は、30〜50代くらいの女性に生じやすく、頬を中心として左右対称に褐色のシミが現れ、紫外線を浴びるとシミは悪化します。一度できてもシミは自然と消えることがあります。

「炎症後色素沈着」は、ニキビやけが、やけど、かぶれなどで皮膚がダメージを受けたところをこすったり、かきむしったりすることが原因で起こるシミです。紫外線を浴びることでシミが悪化しやすい傾向があります。 なお、60歳以上で、紫外線を受けやすい顔や頭部、手の甲に、表面がザラザラとした紅色や褐色のまだら状のシミが現れた場合は、皮膚がんの前段階である「日光角化症」の可能性も。放置するとがん化する可能性があるので、早めに皮膚科を受診しましょう。


「そばかす」は顔だけでなく体にできることも

そばかすは鼻を中心とした頬全体に、細かいシミが散らばるように現れます。体にできることもあります。そばかすは遺伝的な要因が大きく、若い頃から見られます。紫外線によって増えたり濃くなったりします。


日焼け・シミ・そばかすの対策

日焼けをしたらまずはクールダウン

日焼けをしてしまったら、まずは氷や保冷剤などで冷やし、ほてりが治まったらクリームなどを塗って保湿をしましょう。ただし、水ぶくれができた場合は、早めの受診が必要です。また、紫外線により目が炎症を起こして充血したり、涙が過剰に出たりした場合は、抗炎症作用などのある目薬が有効です。

日焼け後のケア

抗酸化物質で活性酸素を抑える

日焼けをしたからといって、すぐにシミができるわけではありません。紫外線は体内で活性酸素の発生を促し、その影響は後年にシミとなって現れます。将来のシミ予防のために、活性酸素を抑える働きをもつ抗酸化物質を積極的に摂りましょう。例えば、ビタミンCには紫外線によって生じるメラニンの発生を抑制する働きがあります。1日2000mgを目安に摂取しましょう。ビタミンCが豊富な果物や緑黄色野菜をたっぷり摂り、不足分はドリンク剤やサプリメントで補うとよいでしょう。その他、コーヒーや緑茶、ワインなどに含まれるポリフェノール、アスタキサンチン、コエンザイムQ10などの抗酸化物質もシミ対策におすすめです。


日焼け・シミ・そばかすの予防法

日焼け止めは1年中欠かさずに

日本で紫外線が最も強くなるのは6〜8月ですが、紫外線は1年中降り注いでいます。また、曇りの日や日陰でも紫外線の影響を受けています。ですから1年を通して、外出時は必ず日焼け止めを塗るようにしましょう。

日焼け止めの容器に記載されている「SPF」はUV-Bを防ぐ指数で、「PA」はUV-Aを防ぐ指標。数値が高いほど、また+の数が多いほど日焼け止めの効果が高く、持続時間も長くなります。日焼け止めの効果の目安は、日常生活ではSPF15〜30、屋外スポーツではSPF30〜50、高山や海辺はSPF50。SPF値、PA値の低い物は2〜3時間おき、高い物でも5〜6時間おきに日焼け止めの塗り直しが必要です。


夏場は、肌の露出を控えて日焼けを防ぐ

紫外線から肌を守るには、日焼け止めに加えて、日焼け対策グッズを併用すると効果的です。帽子や日傘、長袖や長ズボンなど、シーンに合わせて活用しましょう。また、目の紫外線対策も忘れずに。外出時には、紫外線カット機能のついたサングラスを着用するようにしましょう。

夏場はできることなら、紫外線の強い正午前後の外出をできるだけ控えたいもの。外を歩く場合は、日陰を歩くようにしましょう。


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