気をつけてください。自覚症状は少ないかもしれませんが、あなたは高血圧症の範囲に入ってしまったようです。 高血圧症になると、いろいろな部位に症状が出ます。脳の血管を中心として高血圧の影響があるときに出やすい症状は、めまい、耳鳴り、頭が重い、肩こり、手のしびれなどです。心臓に影響して起きる症状は、動悸、息切れ、階段を昇ると胸が苦しくなる、背中が痛くなるなどです。腎臓が悪くなると、夜間の尿量が多い、顔や手足がむくむなど。足に動脈硬化が出ているときは、足が冷える、歩くと脚が痛くなるなどの症状が出ます。このまま放置して症状が進行すると、合併症を起こすことになるので、十分注意して対処し、循環器系の専門医を受診しましょう。
自分で血圧をコントロールしていくには、まず食塩の摂取量を減らすことが必要です。腎臓が悪くなければ、カリウムを摂りましょう。カリウムは野菜や果物、特にバナナやミカン、リンゴ、緑黄色野菜、豆類などにたくさん含まれています。カリウムを摂取すると、血圧に悪影響を及ぼすという、食塩に含まれるナトリウムの排泄がよくなるのです。また、魚の脂を摂るようにする、カルシウムをたくさん摂取するために牛乳を飲むなども効果があります。肉を食べるときは、なるべく脂肪の少ないものを選びましょう。食生活に注意し、定期的な運動を続けていくと、初期の対処であれば、10mmHgぐらい血圧が下がることが期待できます。
1959年慶應義塾大学医学部卒業。64年同大学大学院修了後、米国ハーネマン医科大学留学。慶應義塾大学医学部老年内科科長、防衛医科大学校第一内科教授などを経て、現職。著書・監修本に『新版心臓病 よくわかる最新医学』(主婦の友社)、『生活習慣病を克服する 病気の分かりやすい解説からその予防・治療まで』(ライフ・サイエンス)など多数。