肩に不快な症状があるようですね。肩や首の筋肉疲労による肩こりなのか、四十肩・五十肩など肩の周囲の病気の症状なのか、見極める必要があります。とくに40代以降の人で、今までとくに不調がなかったのに、ある時期から急に肩に痛みが起こってきたような場合は注意が必要です。日ごろから肩が重い、肩や首の辺りに不快感があるといった人は、運動不足だったり、長時間無理な姿勢を続けていたり、体が冷えやすい環境で過ごしたりすることが多くありませんか? 生活を見直しても症状が改善しない場合は、一度、整形外科を受診して原因を確かめた方がよいでしょう。
肩関節は体の関節の中で最も可動域(動かせる範囲)が広く、いくつもの筋肉や腱が集まった、たいへん複雑な構造をした部位です。また、重い頭や腕を支えているため、負担がかかりやすく、それだけ障害も起こりやすいといえます。肩に痛みが生じる原因はさまざまですが、四十肩・五十肩では、(1)痛みのために腕を動かしにくくなる(2)夜から朝方にかけて痛みが強くなるといった特徴的な症状がみられます。
整形外科では問診の上、実際に腕を上げる、横に開く、背中に回すといった動作を行ってもらい、四十肩・五十肩かどうかを診断します。そして急性期の強い痛みに対しては、消炎鎮痛薬の内服や外用薬(ぬり薬、湿布)を用いたり、温熱療法を行ったりしています。家庭では、痛みの強いときには安静を保ち、温水シャワーなどで肩を温めるようにしましょう。また、ぬり薬や湿布で肩周囲の血行をよくしましょう。痛みが治まってきたら、可能な範囲で肩を動かす体操をすると、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることができます。ただし、四十肩・五十肩と紛らわしい病気はほかにもあるので、勝手な自己判断は禁物です。肩の痛みが続く場合は病医院を受診して原因を確かめましょう。
1947年生まれ。東京大学医学部卒業 1997年より聖路加国際病院整形外科部長となる。2012年より林外科病院整形外科部長。専門は関節外科、スポーツ医学、ひざ関節と関節鏡による手術など。