疲れ(疲労)

疲れ

「疲れ」とは、体や心に負担がかかった結果、体のパフォーマンス低下が起こる自然な生理現象で、疲れはいわば体が出している「休め」のサインです。通常の疲れは、しっかり休息をとることで回復していきますが、「たかが疲労」とケアをせず放置していると、重大な病気につながってしまう危険性があります。

監修プロフィール
芝大門 いまづクリニック院長 いまづ・よしひろ 今津嘉宏先生

1988年藤田保健衛生大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室助手、同大学医学部漢方医学センター助教、WHO intern、慶應義塾大学薬学部非常勤講師、北里大学薬学部非常勤講師、首都大学東京非常勤講師などを経験。2013年芝大門 いまづクリニック開設。北里大学薬学部非常勤教員。著書に『風邪予防、虚弱体質改善から始める 最強の免疫力』(ワニブックス)など。

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疲れ(疲労)の原因

疲れは「ストレス」によって生じる

疲れの原因は、老若男女、万国共通で、生活の中で感じるストレスが引き金となっています。以下のような5つのストレスが複合的に絡み合い、体の神経系、免疫系、内分泌系のバランスが乱れて、疲れが発生するのです。

  • 疲れの原因①:人間関係や仕事上感じる精神的ストレス
     職場や家庭、友人関係などの人づきあいの中で感じる不協和音や、仕事のプレッシャーなどから生じる精神面のストレスによって疲れを感じる。
疲れの原因
  • 疲れの原因②:過重労働などによる身体的ストレス
     残業などの過重労働やスポーツのオーバートレーニングなど、体を酷使することで起こる身体面のストレスによって疲れを感じる。
  • 疲れの原因③:紫外線や騒音などによる物理的ストレス
     細胞内のタンパク質や遺伝子を傷つける強い紫外線や騒音、季節ごとの暑さや湿度の高さ、寒さなどの物理的なストレスによって疲れを感じる。
  • 疲れの原因④:化学物質や残留農薬などの化学的ストレス
     新築住宅で問題になりがちなホルムアルデヒドのような化学物質や、野菜の残留農薬のような化学物質によるストレスによって疲れを感じる。
  • 疲れの原因⑤:ウイルスや細菌感染などの生物学的ストレス
     かぜやインフルエンザ、O-157、寄生虫などの人間を脅かす様々なウイルスや細菌の感染によってもたらされるストレスによって疲れを感じる。

疲れ(疲労)の症状

2〜3日の休息で回復する「生理的疲労」の場合

「もうダメだ。明日は起きられないかも」と思っても、一晩ぐっすり眠れば元気になる。もしくは、2〜3日のんびり過ごせば次第に元気になるのが生理的に起こる普通の疲れです。疲労でダメージを受けた心身も、睡眠や休息によってきちんと回復していきます。もちろん生理的疲労には、肉体的な疲労だけでなく、精神的な疲労も含まれます。

けれども生理的疲労を放置していると、病的な疲労を招いたり、疲れが慢性化したりする可能性が出てきてしまいます。


いくら休んでも疲れがとれない「病的疲労」の場合

長時間眠っても週末の休みを寝て過ごしても、いつもすっきり疲れが取れない。仕事が気になったり、心配事で眠れない日が続いたりするなど、心身に異常が発生しているのに「私は元気!」と信じて疑わないような状態は病的な疲れです。こうした「病的疲労」には、基礎疾患がはっきりしている疲労と、基礎疾患のない疲労があります。

  • 基礎疾患がはっきりしている病的疲労
     貧血、甲状腺などのホルモン異常、心臓病、気管支ぜんそく、各種の感染症、がんなどの病気が基礎疾患となって、その症状として疲れが現れる。
  • 基礎疾患のない病的疲労
     慢性疲労症候群、うつ病、スポーツによるオーバートレーニング症候群(過度のトレーニングによる弊害)などにより疲れが現れる。

    内科などで検査をしても何も問題がない慢性疲労症候群は、ストレスによる免疫系の異常によって、脳の働きに変化が発生して起こる病気。慢性疲労症候群とは、長引く強い疲労感の他、頭痛、のどの痛み、筋肉痛、関節痛、睡眠障害、思考力・集中力の低下、微熱などの症状が6カ月以上続く状態のことを指す。インフルエンザ感染時のような、日常生活に支障を来すほどの深刻な疲労感が特徴。

疲れ(疲労)の対策

その日の疲れはその日のうちに解消!

疲れを慢性化させてしまうと、回復までかなりの時間を要してしまいます。その日の疲れはその日のうちに解消するつもりで、疲れをためない生活を心がけることが大切です。疲れをとるのに、最も重要なのが質のよい睡眠。よい睡眠をとるためにも、1日を計画的に過ごしてみましょう。例えば、夕方以降に気が滅入ることをすると寝つきが悪くなる場合もあるため、午前中に嫌な仕事や面倒なことを終わらせて、15時以降は楽しいことをするのも一案。寝る前には、アロマオイルを焚いたり、ヒーリング音楽を流すなどして心身がリラックスできる環境を整えるとよいでしょう。

その日の疲れはその日のうちに解消

熱めのシャワーで1日をスタート。自律神経を整えよう

慢性的な疲労を訴える人の多くは自律神経の働きが乱れがち。活動神経の交感神経と、リラックス神経の副交感神経の切り替えを意識しながら生活を整えてみましょう。

例えば、疲れている時はリラックスすることに偏りがちですが、朝は体をほどよく刺激して、1日のリズムをつくることが大切です。起床後に熱いシャワーを浴びるか、少し強めの運動をすると、交感神経が活発になります。

熱めのシャワーで1日をスタート

笑いを心がけてストレスに強くなる

ストレスが多い生活でも、ちょっとした工夫でストレスをためにくく、免疫力の強い体をつくることができます。笑うとウイルスを撃退するNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化。ストレスに強くなれます。家庭内のちょっとした会話はもちろん、お笑い番組や落語のDVDなどを使って、なるべくよく笑う生活を心がけてみましょう。作り笑いでも免疫力が上がるといわれています。


疲労回復に効くドリンクやサプリメントを活用

ドリンクやサプリメントの中には、疲労回復に効果が高く、継続してのむと疲れがたまりにくくなるものがあります。例えば、肉体疲労時には、ビタミンB群が有効です。疲れると体内の活性酸素が増えますが、その増加を防いでくれるのがビタミンCやコエンザイムQ10。また、鶏の胸肉に多く含まれているイミダゾールジペプチドも抗酸化作用が高いです。

また、ドリンクやサプリメントは精神的な疲労にも効果的。日常的に摂取すれば、疲れから回復しやすい体をつくることも期待できます。 疲労回復におすすめの成分は次の通りです。

  • 疲労回復で摂取したい成分①:ビタミンC(アスコルビン酸)

ビタミンC(アスコルビン酸)は生活習慣病や老化と関係があり、疲労を引き起こす活性酸素を抑える働きがある。1日3,000mgを摂取すると、抗酸化作用が見られる。

  • 疲労回復で摂取したい成分②:ビタミンB1

ビタミンB1は、運動後の疲れ、乳酸などの疲労物質が溜まったときに有効。疲れからくる手足のしびれやむくみ、食欲不振、不安、集中力不足などの症状にも。

  • 疲労回復で摂取したい成分③:ビタミンB2

ビタミンB2は、ストレスを強く感じたときに効果的。ストレスからくる目の充血、肌荒れ、口内炎の症状を抑える働きも。

  • 疲労回復で摂取したい成分④:ビタミンB6

ビタミンB6は倦怠感があるときに有効。疲労性の免疫力低下からくる皮膚炎、口内炎、じんましん、湿疹、アレルギー症状を抑えるほか、ストレスによるイライラや精神を落ち着かせる働きも。

  • 疲労回復で摂取したい成分⑤:コエンザイムQ10

コエンザイムQ10はビタミンCと同様に、活性酸素の増加によって疲労が起きている場合に有効です。1日100mg摂取すると、抗酸化作用が見られる。

  • 疲労回復で摂取したい成分⑥:アミノ酸

アミノ酸は、疲労で傷ついた体の細胞の修復に必要。分枝鎖アミノ酸(BCAA)といわれるバリン・ロイシン・イソロイシンを運動や長時間の作業時にのむと、疲労感が軽減する。

  • 疲労回復で摂取したい成分⑦:カルニチン

カルニチンは抗酸化作用が高く、脂肪酸の代謝改善にも効果がある。特に体が疲れている時に有効なサプリメント。

  • 疲労回復で摂取したい成分⑧:イミダゾールジペプチド

イミダゾールジペプチドは、鶏の胸肉に多く含まれているペプチド。肉体疲労時に摂取すると疲労感が軽減し、運動機能の回復が見られる。

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