疲れ目

疲れ目

現代は、パソコンやスマートフォンなど、目を酷使することがたいへん多くなっています。その結果、目には慢性的な疲労が生じ、目がかすむ、しょぼしょぼするなどの症状が現れてきます。こうした目の疲れは加齢と共に起こりやすくなるものですが、慢性的な目の疲れには、内科的な病気や目の病気が潜んでいることもあるので、「もう年だから」と放っておくのは禁物です。

監修プロフィール
芝大門 いまづクリニック院長 いまづ・よしひろ 今津嘉宏先生

1988年藤田保健衛生大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室助手、同大学医学部漢方医学センター助教、WHO intern、慶應義塾大学薬学部非常勤講師、北里大学薬学部非常勤講師、首都大学東京非常勤講師などを経験。2013年芝大門 いまづクリニック開設。北里大学薬学部非常勤教員。著書に『風邪予防、虚弱体質改善から始める 最強の免疫力』(ワニブックス)など。

疲れ目について知る


疲れ目の原因・症状

加齢によるピント調節力の衰えが原因に

私たちは物を見る時、距離に応じて水晶体の厚さを変えてピントを合わせています。この調節は、水晶体を支える毛様体筋という筋肉が縮んだり緩んだりすることで行われます。

パソコンやスマホなどの近くの物を見る時は、レンズとなる水晶体を厚くするために毛様体筋は緊張しています。このように筋肉が緊張した状態が続くと、目の疲れを引き起こしてしまいます。

目の調節力は40〜50代で急激に低下。加齢と共に水晶体は弾力性を失って硬くなり、毛様体筋も衰えてきます。すると、ピント調節機能がうまく働かなくなってくるため、さらに目は疲れやすくなってしまうのです。

目のピント調整機能

ドライアイも目の疲れを引き起こす

近年、急速に増えている目の乾燥(ドライアイ)。目の表面を守っている涙が減少したり、涙の質に異常が生じたりして、目の表面の健康が保てなくなる病気です。

スマホの液晶モニターに使われている「ブルーライト」という光は、目に見える光の中で最も強く、長時間見続けるとドライアイなどの眼疾患を招きやすくなります。

ドライアイの主症状は「目の疲れ」。涙が減ることで外界の刺激をダイレクトに受けるため、疲れを引き起こしやすくなるのです。


白内障や緑内障など目の病気が原因のことも

目の病気の中には、症状として目の疲れが出るものがあります。放置すると視力の低下を招き、最悪の場合は失明につながるケースもあるので、疲れ目ぐらいと軽視しないことが大切です。目の疲れが気になったら、眼科できちんと検査を受け、病気が見つかった場合は早めに治療を受けましょう。

気をつけたい目の病気には、次のようなものが挙げられます。

  • 白内障

水晶体が加齢と共に白く濁り、視力低下などの症状が現れる。白内障の症状としては、目がかすむ、細かい文字が見えにくい、光をまぶしく感じるなど。一度濁った水晶体は元に戻らない。

白内障の症状
  • 緑内障

眼圧(眼球の内部の圧力)が高くなって視神経が圧迫されて起こる。しかし、日本人には眼圧が正常範囲内でも起こる場合があるので要注意。初期には症状が現れにくい。目が疲れやすい、目がかすむ、視野が欠けるなどの症状。

緑内障の症状
  • 加齢黄斑変性

物の中心部が暗く見えたりゆがんで見えたりし、病気の進行に伴って見えにくい範囲が徐々に広がり、視力も低下する。

  • 糖尿病網膜症

初期は無症状だが、糖尿病の人では「目が疲れる」「目が重い」といった症状で受診し、糖尿病網膜症が発見されるケースもある。進行すると目がかすんだり、視野が欠けたりする。


1日休んでもとれない目の疲れは「眼精疲労」

ピント調節に伴う目の疲れは、通常は一晩休めば回復するもの。休息をとっても目の疲れがとれずに慢性化し、症状が重くなった状態は「眼精疲労」とされ、ただの目の疲れとは区別されます。

眼精疲労では、目が疲れるだけでなく、目がしょぼしょぼする、物がかすんだりぼやけたりする、充血するなど様々な目の症状が起こります。さらに、目以外にも肩こり、頭痛、吐き気、疲労感といった全身の症状を伴うケースが多いのが特徴。慢性的な目の疲れがある場合は、検査をして内科的な病気がないかなどを調べたうえで原因を探っていくことが必要です。

眼精疲労で起こる症状

疲れ目の対策

目を休ませることが何よりも大事

長時間のパソコン作業や読書をする時は、定期的に目を休ませることが大切です。パソコンモニターなどから目を離し、遠くを見て目を休ませましょう。また、次のようなリフレッシュ法もおすすめです。

  • 目を閉じる

目を軽く閉じたり、ギュッと閉じたりする。まばたきをするのも目の休息になる。

  • 目に手を当てる

手の熱が目に伝わり、筋肉を緩める。

  • 目の体操をする

上下左右に目をぐるぐると動かすと、目の周辺の筋肉が刺激され、筋肉のこりがほぐれる。気持ちよいと思える程度に繰り返す。

  • 目を温める・冷やす

温かいおしぼりや温めたアイマスクなどを両目に当てると、血行が促され、疲れ目の解消になる。温めるのと冷やすのを交互に繰り返すのも効果的。

疲れ目の解消法

市販の目薬を活用する

目を保護する成分や、目のピント調節機能を改善する成分が入った目薬を選びましょう。

ドライアイの症状がある場合は、涙が少なく、目の表面がデリケートになっているので、防腐剤の含まれていない物がベターです。涙と同じ性質をつくる塩化カリウム、塩化ナトリウムが含まれている物を選ぶのもポイント。目薬は使い過ぎると逆に目の乾燥を招くことがあるので、用法・用量を守るようにしましょう。


疲れ目の予防法

目だけでなく、全身の健康管理も大切

仕事の合間に適度な休みをとる、環境を見直すなどして目への負担をできる限り減らすと共に、全身の健康によい生活を送るようにしましょう。過労、睡眠不足、ストレスを避け、疲れを感じたらリラックスして心身共に十分休ませるように心がけましょう。

食事では様々な食品から栄養素をバランスよく摂ったうえで、目の老化防止に有効な抗酸化食品を意識的に摂るようにするとよいでしょう。


老眼が始まったら老眼鏡を活用

老眼鏡をかけずに無理を続けていると、疲れ目の症状は改善されません。おしゃれで機能的な老眼鏡も続々と登場しています。老眼が始まったかなと感じたら、自分の生活スタイルに合った物を早めに利用するようにしましょう。


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