あなたには糖尿病の兆候が見られるようです。自覚症状もかなり出ているようですから、まだ治療を始めていない人は、一刻も早く病院での診断を受けましょう。
糖尿病を治療せずに放置しておくと、さまざまな合併症が起こります。その中でもっとも多い三大合併症といわれるのは次の3つです。
・網膜症・・・視力障害、失明など
・腎(じん)症・・・むくみ、尿毒症など
・神経障害・・・手足のしびれ、便秘や下痢、インポテンスなど
通常、糖尿病を発症してから5~6年で神経障害を、7~10年で網膜症、約15年で腎症を発症するといわれています。
糖尿病は完全には治らない病気です。しかし、きちんと治療を続け血糖値をコントロールすれば、健康な人と変わらない生活を送ることができます。糖尿病の治療は、次の3つが基本となります。
・食事療法・・・エネルギーの摂取量を最小限に抑え、インスリンを節約してすい臓の負担を減らす。
・運動療法・・・肥満を解消し、ブドウ糖の消費とインスリンの働きを高め血糖値を下げる。
・薬物療法・・・血糖値を下げる経口血糖降下薬とインスリンを補うインスリン注射をする。
また、糖尿病の克服には、日常生活の中で次のような点に注意を払う必要があります。
・自分に合ったリラックス法を見つけ、ストレスをためないよう心がける。
・食事療法のために、糖尿病であることを周囲に理解してもらう。
・定期的に尿糖の検査を受ける。
・喫煙は、網膜症や腎症などの血管障害を誘発する恐れがあるのでやめる。
・足の壊疽を起こすケースも多いので、足はつねに清潔に保つ。
・感染症に注意する。風邪や虫歯、切り傷、やけど、靴ずれなどにも注意する。
糖尿病は動脈硬化を促進し、脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる病気を引き起こす確率が高くなるともいわれます。このまま放置しては危険です。一刻も早い対処をおすすめします。
1948年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部卒業。同医学部総合診療科教授を経て東京臨海病院副院長歴任。順天堂大学医学部客員教授。