あなたは現在のところ、百日咳の心配はほとんどないといってよいでしょう。ただし、百日咳は定期的に流行を繰り返すので、油断をせずにこれからも予防に努めてください。コンコンという乾いた咳がなかなかとれないといった自覚症状が現れた時や、周囲に同じように長引く咳をしている人がいる場合などは百日咳の可能性があります。放置せずにできるだけ早めに受診し、診断と治療を受けることが大切です。特に家庭に乳幼児がいる人や、乳幼児と接する機会の多い人は、子どもへの感染を予防するためにも十分に注意しましょう。
百日せきワクチンの効果は接種後10年ほどでなくなるので、子どもの時に予防接種をしたからといって、決して安心はできません。大人になってからもワクチン接種は可能ですので、その場合は医師に相談してください。百日咳菌は感染者の咳やくしゃみで飛び散ったに触れたり、感染者と接触することで広まります。そのため、日常のうがい、手洗いの習慣は、感染予防のためには特に大切です。流行時や周囲に百日咳にかかった人がいる時は、マスクを着用し感染を防ぐ配慮をしましょう。また百日咳に限らず咳が出始めた場合は、周囲の人や子どもにうつさないために、咳をする時は横を向いてハンカチで口を覆い、特に乳幼児との接触は控えましょう。
1981年九州大学医学部卒業。同年、同仁会耳原総合病院内科研修、84年東北大学第一内科、85年同仁会耳原総合病院呼吸器科、90年国立病院機構福岡病院(旧国立療養所南福岡病院)を経て、94年米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。国立病院機構福岡病院呼吸器科医長、部長を経て、2020年より現職。日本内科学界専門医、日本呼吸器学会指導医、日本アレルギー学会指導医。