のどの痛みはのどの炎症によって引き起こされます。のどは、空気や飲食物の入り口であり、外敵が最初に接触する場所であるため、炎症が起こりやすい場所です。のどの痛みの原因、症状、対策、予防について医師が解説します。
①上気道
鼻腔から咽頭までの気道。炎症を起こすと痰(たん)を伴わない激しい咳(せき)や鼻水、鼻づまり、のどの痛みなどが現れる。
②下気道
喉頭から下。炎症を起こすと痰を伴う咳、息切れ、胸痛などの症状が現れる。
・気管……のどから肺へと伸びている部分。
・気管支……気管が左右に分かれた所から肺胞までの部分。
・肺胞……気管支の末端部分。毛細血管に包まれた房状の器官。
1988年藤田保健衛生大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室助手、同大学医学部漢方医学センター助教、WHO intern、慶應義塾大学薬学部非常勤講師、北里大学薬学部非常勤講師、首都大学東京非常勤講師などを経験。2013年芝大門 いまづクリニック開設。北里大学薬学部非常勤教員。著書に『風邪予防、虚弱体質改善から始める 最強の免疫力』(ワニブックス)など。
口呼吸をするとのどが乾燥しやすくなり、のどの痛みにつながります。また、鼻の粘膜は冷たい空気を温めたり、湿気を与えたり、ホコリなどがのどから肺に入るのをガードする働きを果たしていますが、口呼吸をするとのどが無防備になり、かぜや咽頭炎、喉頭炎など、のどの炎症を起こしやすくなります。いびきをかく人のほとんどが口を開き、口から呼吸をして寝ているので注意しましょう。
カラオケのし過ぎや大きな声を出して応援し続ける、しゃべり続けるなど、生活の中で声帯を酷使すると、のどに痛みが起こったり声が枯れたりします。
激辛の食べ物や熱い食べ物を食べたり、アルコール度数の強いお酒を飲んだりすることが刺激となり、のどが痛くなることがあります。タバコは吸う人だけでなく、副流煙を吸った人ものどを痛めやすいので注意しましょう
のどの使い過ぎや飲食物による刺激、乾燥などの原因が思い当たらず、かぜとは違う以下のような症状があったら、すぐに内科または耳鼻咽喉科を受診しましょう。
ほとんどは細菌感染によって起こり、一部ウイルスによることも。のどの痛みが強くて飲食物が飲み込めず、耳の周りにも痛みが出たり、寒気、38℃を超える高熱、手足や背中の関節が重く感じたりする。口の中を見ると、のどの両脇の扁桃腺が赤く腫れていて、しばしば小さな白いかたまりが見られる。
ウイルスや細菌感染によって起こる、俗に「のどかぜ」と呼ばれる状態。のど全体が赤く腫れて痛み、飲み込む時にのどから耳にかけて強い痛みがある。発熱、関節痛、倦怠感などを伴うことも。二次感染で気管支炎が起こりやすく、せきや痰(たん)がしばらく続くこともあるので注意が必要。
喉頭の入口にある「喉頭蓋」は、小さなふた状の硬い組織で、物を飲み込む時に喉頭、つまりは気管への入口をふさぐ役割がある。ここが細菌に感染して腫れると、気管が閉塞して息が詰まってしまうので、命にかかわる危険性がある。のどの激しい痛みと、息が苦しい、物が飲み込みにくいなどの症状が起きたら、ただちに病院を受診すること。
喉頭が炎症を起こした状態。多くはウイルス感染によるもので、かぜの部分症状といえる。急性咽頭炎を合併することが多い。声が枯れたり、出なくなったりすることも。のどの腫れが強くなると、呼吸が苦しくなることがあるので注意。
市販のかぜ薬には、様々な症状に有効な成分が配合されている「総合感冒薬」と、それぞれの症状に応じた薬があります。のどが痛い場合は、のどを直接、殺菌・消毒するうがい薬でうがいをしましょう。外出先でうがいができない時はのどスプレーや、のどの炎症を抑え、唾液を増して粘膜を保護するトローチ、ドロップも有効です。
乾燥している時は加湿器やマスクで、のどの乾燥を防ぐようにしましょう。マスクは吐く息の水分がマスク内側にこもり、のどの粘膜を潤すことができ、冷たい空気の刺激を和らげることができます。かぜのウイルスが好む低湿低温の環境を防ぐこともできます。
うがいには、口の中でブクブクする“口蓋型”うがいと、顔を上に向けてのどでガラガラする“咽頭型”うがいがあります。口蓋型うがいは、口の中の乾燥を防ぎ、食べ物の残りかすを洗い流す、咽頭型うがいはのどの乾燥を防ぎ、付着した病原体を洗い流す目的があります。かぜの予防やのどの痛みを和らげるには、両方のうがいを行うことがポイントです。