体型のエイジングケア
筋肉は、見た目の若々しさだけでなく、心の若々しさももたらしてくれます。加齢による「たるみ」を防ぎ、筋肉や脂肪のバランスがとれた体型を手に入れましょう。
運動をしていないと、加齢と共に体型はこう変わる!
運動習慣がない人は、加齢に伴い下記のように筋肉量が減少し、体のたるみの原因に。運動不足は骨量の減少も招き、更年期以降、骨粗鬆症のリスクが高まります。
20代
20代は筋肉量があるため基礎代謝量も高く、太りにくい。大きな努力をしなくてもお腹周りはスッキリとし、メリハリのある体型。
30代
腕やお腹周りなどに脂肪がつきやすくなる。特に30代後半になると女性ホルモンの減少に伴い、皮下脂肪がつきやすい。
40代
筋肉量の減少により、お尻や胸などのたるみが現れやすい年代。脂肪もつきやすく、お腹やお尻がボリュームアップしやすい。
50代
全身に脂肪がついて全体が丸くなり、たるみが目立つように。閉経以降は急激に骨量が減少。運動不足が体に顕著に現れる年代。
体型のエイジングを防ぐポイントは、「抗重力筋」にあり!
普段から運動をしていない人は、20歳を過ぎると、毎年0.5%ずつ筋肉量が減っていくといわれています。筋肉が減ると、重力に抗えなくなってお尻や胸のたるみなど体型が崩れるだけでなく、疲れやすくなるなどの悪影響も。疲れやすくなると自然と活動量が低下し、サルコペニア(加齢による筋肉量の減少)やフレイル(虚弱状態)といった、健康寿命を脅かす心身の状態に陥ることが懸念されます。
加齢によって衰えやすい筋肉とされているのが「抗重力筋」です。抗重力筋は、その名の通り、重力に抗って姿勢を支えている筋肉のこと。代表的なのが、背中についている「脊柱起立筋」、骨盤周りにある「腸腰筋」、太ももの前側についている「大腿四頭筋」の3つです。これらの筋肉を鍛えることが、体型のエイジングを防ぐのに有効です。
「抗重力筋」を鍛えるエクササイズ
抗重力筋は、立ったり歩いたりといった日常的な動作でよく使われている筋肉です。これらの筋肉を鍛えることでスタイルアップはもちろん、姿勢もよくなって腰痛や肩こりの改善にもつながります。
<エクササイズ①>
大腿四頭筋・腸腰筋を鍛える「足前後開きスクワット」
② 両ひざを伸ばして真っすぐ立ち上がる。この曲げ伸ばしを5回繰り返す。足を入れ替えて同様に行う。
<エクササイズ②>
脊柱起立筋を刺激する「全身を伸ばすエクササイズ」
<エクササイズ③>
脊柱起立筋を刺激する「胸を開くエクササイズ」
体型のエイジングを防ぐには、タンパク質をしっかり摂ることも大切
年齢と共に食が細くなりがちですが、ここにも体型のエイジングにつながる落とし穴が……。筋肉の材料となるのはタンパク質のため、少食になってタンパク質が不足すると筋肉をつくり出すことができません。1日に必要なタンパク質量は、体重1kg当たり約1gとされています。つまり、60kgの人は、1日60gになります。ちなみに、サーロインステーキ80~90gを食べた場合、摂取できるタンパク質量は約20g。自身に必要なタンパク質量を算出し、タンパク質が不足していないかどうかチェックしてみましょう。
また、タンパク質は摂り方にもコツがあります。タンパク質の消化・吸収は胃腸に負担がかかるため、一度に大量に摂るのではなく、1日3回の食事で分けて摂るようにしましょう。野菜や果物、海藻などと組み合わせ、様々な栄養をバランスよく摂ることも大事なポイントです。
整形外科医・スポーツドクター
中村格子先生(なかむら・かくこ)
横浜市立大学医学部卒業後、同大学附属病院、自治医科大学整形外科等を経て、2009年国立スポーツ科学センター医学研究部研究員に。JOC本部ドクター、横浜市立大学客員教授などを経て14年Dr.KAKUKOスポーツクリニックを開院。