Vol.3

口のエイジングケア

口の渇きや口臭は老化のサイン。食べたり表情をつくったりする口の機能が衰えると心身の老化も加速してしまいます。

口の機能のエイジング

加齢によって「かむ力」「飲み込む力」「唾液分泌」などの口の機能は低下。若い世代でも生活習慣によっては口の機能が衰えてしまいます。

出典:厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査」より

口が渇くのは「オーラルフレイル(口の機能の衰え)」のサイン

加齢と共に唾液の分泌量は低下します。特に女性は、更年期世代になるとホルモンバランスの乱れにより唾液の分泌量が減り、口が渇きやすくなります。唾液の分泌は自律神経によりコントロールされているため、ストレスも口の渇きの原因となります。唾液には、抗菌作用や歯垢などを洗い流す自浄作用などがあり、唾液の分泌量が減ると、口の中に雑菌がたまり口臭が起こりやすくなってしまいます。

口の渇きや口臭は、口の機能の衰え「オーラルフレイル」のサインでもあります。オーラルフレイルになると食べ物がかみにくくなったりし、食欲低下や低栄養状態へと進行、全身の老化につながってしまいます。また、オーラルフレイルは、全身の筋力低下にもつながります。私たちは物をかむ時に、口の周りだけでなく、首から背中にかけた多くの筋肉を使っており、かむ力が衰えれば、そうした筋肉も衰えてしまうのです。

「オーラルフレイル」を防ぐには、食べ方を見直すのが第一

オーラルフレイルを防ぐ方法は様々ありますが、日常的にできることをここではご紹介します。それは、「食べる時の姿勢」。背筋を伸ばし、あごをしっかり引いた美しい姿勢で食べるようにしましょう。かむために必要な全身の筋肉をしっかり使うことができます。そして、食べ物を口に入れたらよくかむこと。食べやすいのでつい軟らかい物ばかりを選んでしまいがちですが、かむ力を衰えさせないためには、かみ応えがある物をすすんで食べるようにしましょう。ナッツなどの硬い食材をトッピングしたり、野菜などは大きめに切ったりすると自然とかむ回数を増やすことができます。また、薄味のほうが、素材の持ち味を味わうために、かむ回数は多くなる傾向に。健康にとってもプラスです。

その他、オーラルフレイルの予防として、次のようなトレーニングを行うのもおすすめです。

<唾液分泌トレーニング>

唾液分泌を促進し、口の老化予防におすすめのトレーニングです。口元の筋肉を鍛えるのにも有効。「あ」「い」「う」「え」「お」と口を大きく動かしましょう。声を出さなくてもOK。

顔の表情が豊かな人ほど、口が老化しにくい理由とは?

例えば、しかめ面で一日中テレビの前で過ごしていると、口角が下がり、会話をしなければ口の機能はどんどん衰える一方です。逆に、口や口元が老化しにくい人とは、笑顔が多い人。口角を上げると表情筋が鍛えられますし、よく笑う人は、唾液の分泌量が多いとも言われています。また、口角を上げることで幸福感をもたらすホルモンが分泌され、心身の健康にもプラスになります。

マスク生活が続いている今、マスクの下でも意識的に笑顔をつくってみてください。鬱々としている時や孤独を感じている時も、つくり笑いで口角を上げるのがおすすめ。楽しいから笑うのではなく、笑っていると、自然と楽しくなるということは、医学的にも証明されています。