肥満には市販薬もあります

[6]肥満には市販薬もあります

[6]肥満には市販薬もあります

現代の社会環境では、誰もが肥満になる可能性があります。そして、今は肥満を改善する方法は拡充されてきています。市販薬もその1つです。肥満改善の市販薬には、これまで漢方薬などがありましたが、新しい薬も出てきています。



新しい内臓脂肪減少薬の成分「オルリスタット」とは?

オルリスタットは厚生労働省により2023年2月に承認された、内臓脂肪と腹囲の減少(生活改善の取り組みを行っている場合に限る)を効能とする、内臓脂肪減少薬の成分です。オルリスタットには、次のような作用があります。

●オルリスタットの作用
食事中に含まれる脂肪(トリグリセリド)は、すい臓から分泌される脂肪分解酵素リパーゼによって分解され、消化管(腸管)から吸収されます。オルリスタットはリパーゼと結合して不活性化させ、脂肪が分解されるのを防ぎます。分解されなかった脂肪は吸収されることなく、そのまま便として排泄(はいせつ)されます。食事で摂取した脂肪の吸収を低下させることにより、内臓脂肪を減少させ、その結果、腹囲を減少へと導きます。

通常の脂肪摂取とオルリスタット服用時の脂肪摂取の違いのイメージ図。オルリスタットはリパーゼと結合して不活性化させ、脂肪が分解されるのを防ぎ分解されなかった脂肪は吸収されることなく、そのまま便として排出排泄されます。

食事由来の脂肪の吸収を低下させ、便として排泄することから、脂肪の多い食事を摂るほどオルリスタットによる脂肪の排泄量が増え、油が漏れる、おならと共に便や油が出る、便に油が混ざるなどの事象が現れやすくなります。

オルリスタット配合の医薬品は「要指導医薬品」

オルリスタットを有効成分とした医薬品は、薬局・薬店で薬剤師の対面による指導を受けて購入する「要指導医薬品(2024年3月現在)」です。18歳以上の成人で、腹囲条件(男性85cm、女性90cm以上)に当てはまり、3カ月以上前から生活習慣改善の取り組み(食事の改善・運動)を行い、定期的に健康診断を受けている人が購入対象となります。購入の際には、直近1カ月間の生活習慣記録が必要です。

オルリスタットを有効成分とした医薬品は、薬局・薬店で薬剤師の対面による指導を受けて購入する「要指導医薬品(2024年3月現在)」です。薬剤師による対面による指導のイメージイラスト。

生活習慣の改善が主で、市販薬はサポート。肥満に隠れた病気にも注意

肥満を改善するには、生活習慣の改善(食事の改善・運動)が最も重要で、市販薬はあくまでサポートとなるものです。「忙しくてもできる肥満改善 ミニ習慣」の記事を参考に生活習慣を改善しましょう。また、内臓脂肪型肥満の陰には生活習慣病をはじめとした病気が隠れていることもあるので、市販薬を使うことで病気の発見が遅れることがないように、定期的な健康診断を受け、適切に医療機関を受診することが大切です。