ビタミンB2
エネルギー代謝と成長に欠かせない、
“発育のビタミン”
どんなビタミン?
ビタミンB2は水溶性ビタミンの1つで、化学名を『リボフラビン』といいます。食事で摂った脂質、糖質、タンパク質を体内でエネルギーに変換する際にFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)という補酵素に生合成された後に働く重要なビタミンで、特に脂質の代謝に欠かせません。細胞の再生を助けて皮膚や粘膜、髪、爪などを健康に保つ働きや、体全体の成長を促進する働きをもつことから、“発育のビタミン”と呼ばれています。
さらにビタミンB2には、代謝の過程で発生した過酸化脂質を除去する働きもあります。過酸化脂質は動脈硬化や老化を進める有害物質であるため、ビタミンB2の摂取は様々な生活習慣病の予防にもつながります。
過不足があるとどうなる?
ビタミンB2が不足すると、皮膚や粘膜が敏感になり、口内炎や口角炎、口唇炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、結膜炎などが現れることがあります。肌荒れや髪のトラブルを起こしやすい人や、目が充血してゴロゴロするといった症状のある人も、潜在的にビタミンB2が不足している可能性があります。
成長期の子どもにビタミンB2が欠乏した場合は、成長障害が起こることもあります。欠乏は食事からの摂取不足の他、抗生物質や精神安定剤、副腎皮質ホルモン、経口避妊薬などを多量に服用した場合に起こることが知られています。
どのくらい摂ればいい?
ビタミンB2は体にためておくことができないため毎日十分な量を摂る必要がありますが、現状は男女共にほぼ全ての年代で、摂取量が基準値に足りていません。
ビタミンB2は保存や調理による損失が大きいビタミンです。そのため基準値を一つの目安とし、多めに摂ることを心がけましょう。特に、脂質を多く摂る人、スポーツをする人、肌や髪のトラブルがある人、ダイエット中の人、妊娠中や授乳中の人などは、積極的な摂取をおすすめします。
ビタミンB2はレバー、豚肉、牛肉、ウナギ、サバ、卵、牛乳などの動物性食品の他、アーモンド、納豆、まいたけなどにも豊富です。水溶性のため摂り過ぎた分は速やかに排泄され、過剰症になることはまずありません。
●ビタミンB2の1日の食事摂取基準(推奨量)
男性
18〜49歳:1.6㎎
50〜74歳:1.5㎎
75歳以上:1.3㎎
女性
18〜74歳:1.2㎎
75歳以上:1.0㎎
妊婦(付加量):+0.3㎎
授乳婦(付加量):+0.6㎎
効率よく摂るポイント
ビタミンB2は水に溶けやすく、熱には比較的強く、光に弱い性質があります。食品はできるだけ新鮮な物を選び、あまり手を加えずに食べるようにすると効率よく摂取することができます。加熱調理なら、ビタミンB2が溶け出した汁ごと摂れるスープやシチューなどがおすすめです。
確実に補給したい場合は、栄養補助食品、栄養機能食品、サプリメント、栄養ドリンクなどを利用するのもよいでしょう。ビタミンB2が働くためには、他のビタミンB群や亜鉛、マグネシウム、モリブデンなどのミネラルも必要なため、サプリメント、医薬品などで摂る場合は単一成分ではなく、これらの栄養素が含有された物を選ぶとより高い効果が期待できます。
甲南女子大学 医療栄養学部 医療栄養学科 教授
柴田克己先生
農学博士。京都大学大学院農学研究科食品工学専攻博士課程修了。ビタミン・バイオファクター協会理事、日本トリプトファン研究会会長、文部科学省学校給食摂取基準策定に関する調査研究者協力会議委員、日本人の食事摂取基準策定委員会委員(2005年版、2010年版、2015年版、2020年版)、滋賀県食の安全・安心審議会会長などを歴任。日本ビタミン学会、日本栄養・食糧学会などに所属。滋賀県立大学名誉教授。ビタミンB研究委員会委員長。