ビタミンC

強い抗酸化作用で体を守る、
老化予防と美肌のビタミン

どんなビタミン?

ビタミンCは水溶性ビタミンの1つで、『アスコルビン酸』ともいいます。細胞の結合組織にあるコラーゲンの合成に不可欠なビタミンで、コラーゲンには肌に張りをもたせたり、血管や粘膜、骨、軟骨、筋肉などを丈夫にしたり、傷を修復したりする働きがあります。そのためビタミンCは、皮膚や骨の健康を維持するために欠かせません。

また、強い抗酸化作用をもち、有害な活性酸素の働きを抑えて細胞の老化を防ぐことから、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中、がんなど酸化ストレスに由来する様々な疾患の予防効果が期待されています。この他にも、白血球の働きを強化して免疫力を高める、副腎皮質ホルモンの合成を促してストレスや疲労をやわらげる、腸管での鉄や銅の吸収を助ける、肌のシミの原因となるメラニン色素の生成を抑えるなど、多くの働きで毎日の健康と美容をサポートします。

過不足があるとどうなる?

ビタミンCの欠乏によって起こる病気としては、壊血病が知られています。壊血病ではコラーゲンがうまく合成されないため毛細血管がもろくなり、歯ぐきや皮下からの出血、貧血、倦怠感、食欲不振などの症状が現れます。現代の日本では壊血病にまで至るケースはほとんどないと考えられていますが、ビタミンCが不足すると、肌の張りが失われたり、歯ぐきから出血しやすくなったり、傷が治りにくくなったり、免疫力が低下してかぜをひきやすくなったり、ストレスに対する抵抗力が弱まったりと、様々な不調が起こりやすくなります。

水溶性のため余分に摂取しても排泄され、過剰症になることはまずありませんが、サプリメントなどで大量に摂取した場合、一時的に下痢や軟便、頻尿などの症状が出ることがあります。

どのくらい摂ればいい?

犬や猫など、ほとんどの哺乳動物はビタミンCをブドウ糖から生合成できます。しかし、人はビタミンCを生合成できないため毎日十分な量を摂る必要があります。現状は60歳以上のシニア世代を除き、不足傾向にあります。

ビタミンCは不安定で保存や調理、加工による破壊が大きいビタミンです。食事摂取基準では12歳以上の成人で1日100㎎の摂取が推奨されていますが、これは一つの目安とし、多めに摂ることを心がけましょう。特に、ビタミンCの消費量が増えてしまう喫煙者やストレスの多い人、需要量が増える妊娠中の人・授乳中の人は、積極的な摂取がおすすめです。

ビタミンCはパセリ、ピーマン、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や、いちご、みかん、キウイなどの果物に多く含まれます。

●ビタミンCの1日の食事摂取基準(推奨量)

成人:100㎎
妊婦(付加量):+10㎎
授乳婦(付加量):+45㎎

効率よく摂るポイント

ビタミンCは水に溶けやすく、熱や空気、アルカリに弱いため、食品を長時間水にさらしたり、ゆでたりすると大幅に減少します。野菜は新鮮な物を選び、保存を短時間にとどめて手早く調理するほうが多く摂取することができます。また、同じ野菜でも旬の物はビタミンCの含有量が多いので、その季節に合った野菜を摂るとより効率的です。

確実に補給したい場合は、栄養補助食品、栄養機能食品、サプリメント、医薬品などを利用するのもよいでしょう。ビタミンCは、同じく抗酸化ビタミンであるビタミンEと一緒に摂ると、相乗効果が期待できます。

柴田克己先生

甲南女子大学 医療栄養学部 医療栄養学科 教授

柴田克己先生

農学博士。京都大学大学院農学研究科食品工学専攻博士課程修了。ビタミン・バイオファクター協会理事、日本トリプトファン研究会会長、文部科学省学校給食摂取基準策定に関する調査研究者協力会議委員、日本人の食事摂取基準策定委員会委員(2005年版、2010年版、2015年版、2020年版)、滋賀県食の安全・安心審議会会長などを歴任。日本ビタミン学会、日本栄養・食糧学会などに所属。滋賀県立大学名誉教授。ビタミンB研究委員会委員長。