eGFRは腎機能をチェックするための指標です。腎臓の機能のうち最も大切なのは、血液中の老廃物を尿に排出すること。「1分間にどれだけの血液をろ過できるか」を表すのが「糸球体ろ過量(GFR)」で、この値が低いほど腎機能が低下していることになります。
GFRは、クレアチニンという物質の血液中の量と、1日に尿中に排出された量から計算するのですが、この方法は尿を1日中貯める必要があるため、健診での実施は困難です。そこでより簡便な推計値としてeGFR(推算糸球体ろ過量)を腎機能の指標とするようになりました。
eGFRはクレアチニン値を性、年齢で補正して算出した数値です。血清クレアチニン値は筋肉量の影響を受けるため、女性よりは男性のほうが高い傾向にあります。高齢者や女性では腎機能が低下していてもクレアチニン値がそれほど高くならず、腎機能障害を見逃す可能性がありました。eGFRは筋肉量の影響は少なく、より正確に腎機能を評価することができます。
eGFRが基準値よりも低い場合は腎機能の低下が考えられます。疑われる病気としては、急性・慢性腎不全、糖尿病腎症、糸球体腎炎、腎硬化症、尿路閉塞などが挙げられます。なお、腎機能の低下が慢性的に(3カ月以上)続くか、eGFRが60mL/分/1.73㎡未満の場合は慢性腎臓病(CKD)と診断され、次のようなステージに分けられます。G4のステージになると高度の腎障害と診断され、透析治療が間近に迫っている段階です。
eGFR値 | 腎機能 | |
---|---|---|
90以上 | G1 | 正常または高値 |
60~89 | G2 | 正常または軽度低下 |
45~59 | G3a | 軽度~中等度低下 |
30~44 | G3b | 中等度~高度低下 |
15~29 | G4 | 高度低下 |
14以下 | G5 | 末期腎不全 |
塩分の摂り過ぎを見直そう
腎臓病患者の多くが、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を抱えています。腎機能の改善には、血圧と血糖を管理し、適切な治療を受けることが重要で、治療中断が最大のリスクともいえます。
腎臓を守るために、まず塩分の摂り過ぎを見直しましょう。1日の塩分摂取量は6g未満が目安です。減塩料理というと制限が多い印象かもしれませんが、塩分に代わる味付けとして、だしや酢、スパイスなどでうま味や酸味、辛味をプラスすると、減塩料理の味の薄さをカバーすることができます。
タンパク質の摂り過ぎにも注意
腎機能が低下し始めたら、タンパク質の摂取量を見直すことも大切です。タンパク質に含まれる窒素を尿中に排出するのが腎臓の役目ですが、タンパク質を摂り過ぎるとオーバーワークになります。1日に必要なタンパク質の推奨量は、18〜64歳の男性が65g、女性で50gです。自分がどれくらい摂っているのか、栄養相談を受けてみるとよいでしょう。プロテインなどのサプリメントは避けるべきです。

運動は血圧や血糖を改善する効果が大きく、ウォーキングなどの有酸素運動を積極的に行うことが推奨されます。ただし、激しい運動(無酸素運動)や脱水が起こりやすい運動は腎臓に負担がかかるため控える必要があります。eGFRが45mL/分/1.73㎡以下の人や、急速に腎機能が悪化している場合には、医師に相談してください。