腹囲腹囲

この検査でわかること

腹囲は、生活習慣病の予防を目的とした特定健診の検査項目の1つです。腹囲を測ることによって内臓脂肪の量を推測し、生活習慣病を予防するのが主な目的です。

体につく脂肪は皮下脂肪と内臓脂肪に大きく分けられます。皮下組織につくのが皮下脂肪、腹部の内臓の周囲につくのが内臓脂肪です。皮下脂肪は飢餓に備えたエネルギーの貯蔵庫であり、体温を維持する断熱材の役目を果たします。一方、内臓脂肪は、肝臓での処理力を超えたエネルギーを摂取することにより、本来の貯蔵庫ではないところに蓄積した脂肪です。内臓脂肪型肥満になると、肥大化した脂肪細胞より悪玉ホルモン(インスリンの働きを悪化させる、血圧を高めるなど)が過剰に分泌されるようになり、動脈硬化を進行させ、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの発症リスクを高めます。

内臓脂肪量の正確な測定はコンピューター断層撮影(CT)で行いますが、腹囲を測ることで大まかに判定が可能です。腹囲の測定ではいわゆる「ウエスト」に当たる、お腹の一番細い部分ではなく、おへその高さで測定します。

基準値

男性85.0未満
女性
90.0未満(単位:㎝)
日本内科学会による

基準値から外れた場合

腹囲が基準値以上で、さらに脂質、血圧、血糖値のうち2項目以上が基準値を超えている場合、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と判定されます。メタボリックシンドロームになると心臓の病気や脳卒中などの脳血管疾患を発症するリスクが高まります。日本では特定健診の対象である40~74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドローム予備群または該当者であるといわれています。

なお、腹囲が基準値以上でも、脂質、血圧、血糖値に問題がない場合はメタボリックシンドロームには該当しませんが、今後の数年間で検査値異常が出てくることが心配されます。検査値の変動に注意しておきましょう。

数値を改善するためのセルフケア

今の体重から3〜5%減量してみよう

メタボリックシンドロームやその疑いのある状態を改善するには、体重を減らすことが有効です。腹囲が基準値以上の場合、まずは今の体重の3~5%程度減量し、その体重を維持してみましょう。体重を減らすには、生活全体の中で、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回る必要があります。運動を取り入れて消費エネルギーを増やすと共に、食事に気をつけて摂取エネルギーを減らし、減量を目指しましょう。

座り過ぎを避け、1日の活動量を増やそう

運動を行う場合はウォーキングやサイクリング、水泳といった有酸素運動をメインに、筋力トレーニングやストレッチを併用すると、得られる効果が高まります。減量のためには週の合計運動時間が150~300分にするとよいといわれますが、いきなり長時間の運動をするのは難しいので、最初は軽い運動を短時間でも続けることから始めてみるとよいでしょう。日常生活の中では座り過ぎを避け、30分~1時間に一度は立ち上がる動作を取り入れることも大切です。

すでに高血圧、糖尿病、脂質異常症などがある人は、それぞれの病気の改善にすすめられている運動プログラムがあるので、それらをかかりつけ医に確認し、参考にしてみてください。膝の痛みや腰痛などがある人の場合も同様です。