MCV、MCHMCV、MCH

この検査でわかること

MCVは赤血球1つの平均容積を示す数値で、簡単に言うと赤血球の大きさを表す値です。一方、MCHは赤血球1つに含まれるヘモグロビンの量を示した数値です。MCVとMCHの検査は、ヘモグロビンの検査で貧血が疑われた場合に、さらに詳しく貧血のタイプを推測するために行われます。

基準値

MCV(平均赤血球容積)
83.6~98.2
(単位:fL)
MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)
27.5~33.2
(単位:pg)
共用基準範囲による
MCV(平均赤血球容積)83.6~98.2(単位:fL)
MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)27.5~33.2(単位:pg)
共用基準範囲による

基準値から外れた場合

MCVの検査では、基準値より小さい(小球性)、ほぼ基準値の範囲(正球性)、基準値より大きい(大球性)の3つに分けられます。一方、MCHの検査では、基準値より低い(低色素性)、ほぼ基準値の範囲(正色素性)、基準値より高い(高色素性)の3つに分けられ、これらを組み合わせることで、次のように貧血のタイプや疾患がある程度分かります。

MCV MCH 貧血の分類 代表的な貧血
基準値より小さい
(小球性)
基準値より低い
(低色素性)
小球性低色素性貧血 鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血など
ほぼ基準値の範囲
(正球性)
ほぼ基準値の範囲
(正色素性)
正球性正色素性貧血 溶血性貧血、再生不良性貧血、
急性出血、腎性貧血、白血病など
基準値より大きい
(大球性)
基準値より高い
(高色素性)
大球性高色素性貧血 巨赤芽球性貧血、肝硬変など

最もよく見られる鉄欠乏性貧血は、赤血球が基準値より小さく(小球性)、赤血球1つに含まれるヘモグロビンの量も少ない(低色素性)という特徴があります。MCVやMCHが基準値内であっても貧血が疑われる可能性があります。

数値を改善するためのセルフケア

検査結果を軽視しないこと

食生活の改善は鉄欠乏性貧血の予防には有効ですが、貧血になった場合には食生活だけではなかなか改善が困難で、長時間を要することが多いです。また、中高年男性ではがんを疑って検査を早く行うべきです。まずは原因をしっかりと確かめたうえで対策を立てましょう。

赤身の肉などヘム鉄を多く含む食品を食べよう

ヘマトクリットが基準値よりも低い場合は、鉄欠乏性貧血の可能性が高いので、造血に必要な鉄を多く含む食品を積極的に摂りましょう。鉄には動物性食品に多く含まれるヘム鉄と、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄の2つがあり、ヘム鉄のほうが体内に効率よく吸収される特徴があります。食材では、赤身の肉、カツオやマグロなどがおすすめです。過剰摂取に注意が必要ですが、食事での調整が難しい場合は、サプリメントで鉄を補うのも一案です。