ヘモグロビンヘモグロビン

この検査でわかること

ヘモグロビンの検査は、血液中のヘモグロビン量を調べる検査です。ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパクで、ヘムという赤い色素をもっています。血液が赤いのはヘモグロビンの色素によるものです。ヘモグロビンは酸素と結合しやすい特徴があり、全身に酸素を運ぶ役割を担っていることから、貧血の検査においては最も重要視されています。

貧血の診断にはヘモグロビンを用いますが、貧血の原因を探るために、赤血球(数)、ヘマトクリット(血液全体の中で赤血球が占める割合)、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)などの検査結果を用います。

基準値

男性:13.7~16.8
女性:11.6~14.8    
(単位:g/dL)
共用基準範囲による
男性:13.7~16.8、女性:11.6~14.8(単位:g/dL)
共用基準範囲による

基準値から外れた場合

ヘモグロビンが基準値よりも低い場合は、貧血が疑われます。全身に酸素を運ぶ働きが低下し、酸素不足になることから、疲れやすい、動悸や息切れがする、立ちくらみ、顔が青白いなどの症状が現れます。重度になると心不全を起こすこともあります。

貧血は様々な原因によって起こりますが、最も多いのが体内の鉄不足により起こる「鉄欠乏性貧血」です。特に、閉経前の女性は月経により鉄が定期的に失われているため、鉄欠乏性貧血が起こりやすいです。スポーツ選手も汗と共に鉄分を失いやすいなどの理由のため貧血となりやすく、競技成績が低下することもあります(スポーツ性貧血)。

この他にも、赤血球を含む全ての血球がつくられなくなる「再生不良性貧血」や、赤血球が破壊される「溶血性貧血」などがあり、こうした貧血の種類は、MCVやMCHなどの検査によってある程度は特定できます。

中高年男性の貧血で最も心配なのは、胃がん、大腸がんなどからの消化管からの出血です。貧血の原因を探るために、消化管の精密検査が必要となることがあります。

一方、ヘモグロビンが基準値よりも高い場合は、赤血球の濃度が高くなる多血症(赤血球増加症)が疑われます。多血症の原因は様々で、心肺の疾患などが原因の多血症や、血液をつくる骨髄の異常による「真性多血症」がありますが、下痢や嘔吐による脱水、喫煙、肥満、ストレスなども原因となります。

数値を改善するためのセルフケア

検査結果を軽視しないこと

食生活の改善は鉄欠乏性貧血の予防には有効ですが、貧血になった場合には食生活だけではなかなか改善が困難で、長時間を要することが多いです。また、中高年男性ではがんを疑って検査を早く行うべきです。まずは原因をしっかりと確かめたうえで対策を立てましょう。

【貧血の場合】赤身の肉などヘム鉄を多く含む食品を食べよう

ヘモグロビンが基準値よりも低い場合は、鉄欠乏性貧血の可能性が高いので、造血に必要な鉄を多く含む食品を積極的に摂りましょう。鉄には動物性食品に多く含まれるヘム鉄と、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄の2つがあり、ヘム鉄のほうが体内に効率よく吸収される特徴があります。食材では、赤身の肉、カツオやマグロなどがおすすめです。過剰摂取に注意が必要ですが、食事での調整が難しい場合は、サプリメントで鉄を補うのも一案です。

【多血症】血流をよくする生活習慣を心がけよう

ヘモグロビンが基準値よりも高い場合は、脱水や喫煙が原因で赤血球が過剰になっている可能性があるため、水分を十分に摂り、禁煙、体重減量に努めましょう。血液濃縮の状態が続くと血栓症を招きかねないので、血流をよくする生活習慣を心がけることが大切です。ウォーキングなどの有酸素運動は、全身の血流促進に有効なので習慣化を目指しましょう。運動する際は水分をこまめに摂り、脱水に注意しながら行ってください。