ヘモグロビンA1c(HbA1c)ヘモグロビンA1c(HbA1c)

この検査でわかること

ヘモグロビンA1cは、赤血球のタンパク質であるヘモグロビンに糖が結合した物の一種で、血糖値が高いほど量が多くなります。血糖値は食事の前後などで変動するものですが、ヘモグロビンA1cは採血2カ月前から採血時までの平均的な血糖状態が分かるため、糖尿病の診断・治療においても重要視されている数値です。

基準値

5.6未満(単位:%)
日本糖尿病学会(NGSP値)による

基準値から外れた場合

ヘモグロビンA1cが6.0%以上になると糖尿病の疑いが強く、二次検査が必要になります。空腹時血糖値が126mg/dL以上、ヘモグロビンA1cが6.5%以上の場合は、糖尿病と診断されます。

糖尿病は高血糖状態が続くことで全身の血管や神経が障害を受け、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」といった合併症を引き起こす深刻な病気です。HbA1cが高いほど、また高い期間が長いほど、合併症が起こりやすくなりますので、糖尿病の患者さんではHbA1cをできるだけ6%台で抑えるよう、生活習慣改善と薬物治療を組み合わせることが重要です。

また、感染症に罹患すると重症化することがある、認知症のリスクが高まる、大腸がんなどの発症リスクが高まるなど、血管障害だけでなく、全身に影響を及ぼすことが分かってきています。

数値を改善するためのセルフケア

定期的な受診でしっかりと管理を

糖尿病と診断されても、悲観的になる必要はありません。HbA1cをできるだけ正常に保つこと(6.5%未満が理想)で、健康な人と同じような人生を過ごすことができます。定期的な受診、食生活や運動習慣の改善などを行い、必要な薬物治療を組み合わせると、合併症を発症させず、健康寿命を伸ばすことができます。血圧やコレステロールの管理、禁煙、節酒も重要です。これは健康のために誰でも心がけたいことであり、糖尿病があることで「一病息災」を目指して欲しいと思います。

週に150分以上、運動することを目標に

運動は血糖値によい効果をもたらします。糖の70%は筋肉で消費されているため、筋肉が多い人ほど糖が消費されやすく、血糖値も上がりにくいのです。筋肉は何もしなければ加齢と共に減少していくため、筋肉を減らさないためにも習慣的に運動するようにしましょう。運動時間の目安としては、週に150分以上です。1日30分以上の有酸素運動を5日間、可能であれば毎日続けることを目標にしましょう。10分程度の短い運動を、1日の中で数回行うことでも構いません。ウォーキングやジョギング、水中ウォーキング、サイクリングなどライフスタイルに合わせ、継続して続けられそうな運動を取り入れてみてください。

血糖値を急上昇させない食べ方をしよう

食事では、血糖値の上昇を緩やかにすることが大切です。そのための方法として、食物繊維を先に食べること、ゆっくりよくかんで食べることの2つをまず意識しましょう。また、糖質の多い食品を摂る際は、分解・吸収の遅い食品、GI値(グリセミック・インデックス)が低い食品を選んで摂るとよいでしょう。一般に精製度の高い物ほどGI値が高く(血糖値が上がりやすい)、低い物ほどGI値が低い(血糖値が上がりにくい)とされており、白米よりは玄米、食パンよりはライ麦パンなどがGI値は低くなります。

<高GI食品:GI値70以上>
糖類、精白米、食パン、うどん、コーンフレーク、もち、ビーフン、そうめん、じゃがいも、トウモロコシ、人参、山芋

<低GI食品:GI値55以下>
玄米、全粒粉パン、そば、大豆、葉野菜、りんご、いちご、バナナ、肉類、魚類、卵、チーズ、ヨーグルト