血糖血糖

この検査でわかること

食事で摂った「でんぷん」などの糖質は、胃や小腸で分解されてブドウ糖になり、血液中に入り、体を動かすエネルギー源となります。血糖値は血液中のブドウ糖の量を示し、ブドウ糖がエネルギー源として適切に使われているかを表す指標です。血糖値は食事によって変動しやすいため、検査は10時間以上絶食した後に実施します。

腸管から吸収されたブドウ糖は、門脈という血管を通して肝臓に運ばれます。門脈の血糖値が高くなると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、糖をグリコーゲンに変えて肝臓に蓄えたり筋肉に取り込んだりします。そのため、食事で血糖値が一時的に高くなっても、すぐに元に戻るようになっています。逆に、空腹時にはインスリン分泌が減るため、肝臓に蓄えられたブドウ糖が放出され、低血糖にならないよう血糖値を維持するメカニズムが備わっています。

ところが、肥満や運動不足ではインスリンの働きが低下して、血糖値が下がりにくくなります。そのためインスリンをさらに動員して、何とか血糖値を下げようとするため、高インスリン血症を招いてしまうことも。高インスリン血症は血圧を高めたり、肥満を加速させたり、動脈硬化を促進したりします。

基準値

99以下(単位:mg/dL)
日本糖尿病学会による

基準値から外れた場合

空腹時血糖値が126mg/dL以上、ヘモグロビンA1cが6.5%以上の場合は、糖尿病と診断されます。糖尿病は高血糖状態が続くことで全身の血管や神経が障害を受け、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」といった合併症を引き起こす深刻な病気です。空腹時血糖値が100mg/dLを超えた人は予備群。体の中で何とか血糖値を下げようと膵臓もインスリン分泌を頑張っている状態です。膵臓が過労にならないよう、肥満や運動不足を解消し、糖尿病への進行を防ぐことが大切です。また、糖尿病予備群でも心筋梗塞や脳卒中などの発症リスクを高めることが知られているので、油断大敵です。

なお、糖尿病には、自己免疫反応などのために膵臓のインスリン分泌細胞が壊れてインスリン欠乏が起こる1型糖尿病と、生活習慣と体質が組み合わさって発症する2型糖尿病の2タイプがあります。中年以降に発症する場合は、2型糖尿病がほとんどです。

数値を改善するためのセルフケア

週に150分以上、運動することを目標に

肥満、特に内臓脂肪型肥満の人は、インスリンが効きにくいため、血糖値が上がりやすくなります。内臓脂肪がたまるとインスリンの働きを妨げる生理活性物質が増え、インスリンの働きにブレーキをかけます。腹囲が男性は85cm以上、女性は90cm以上の場合は内臓脂肪型肥満の可能性が高いので、該当する人は減量することから始めましょう。

運動は血糖値によい効果をもたらします。糖の70%は筋肉で消費されているため、筋肉が多い人ほど糖が消費されやすく、血糖値も上がりにくいのです。筋肉は何もしなければ加齢と共に減少していくため、筋肉を減らさないためにも習慣的に運動するようにしましょう。運動時間の目安としては、週に150分以上です。1日30分以上の有酸素運動を5日間、可能であれば毎日続けることを目標にしましょう。10分程度の短い運動を、1日の中で数回行うことでも構いません。ウォーキングやジョギング、水中ウォーキング、サイクリングなどライフスタイルに合わせ、継続して続けられそうな運動を取り入れてみてください。

GI値の低い食品を選んで食べよう

食事では、血糖値の上昇を緩やかにすることが大切です。そのための方法として、食物繊維を先に食べること、ゆっくりよくかんで食べることの2つをまず意識しましょう。また、糖質の多い食品を摂る際は、分解・吸収の遅い食品、GI値(グリセミック・インデックス)が低い食品を選んで摂るとよいでしょう。一般に精製度の高い物ほどGI値が高く(血糖値が上がりやすい)、低い物ほどGI値が低い(血糖値が上がりにくい)とされており、白米よりは玄米、食パンよりはライ麦パンなどがGI値は低くなります。

<高GI食品:GI値70以上>
糖類、精白米、食パン、うどん、コーンフレーク、もち、ビーフン、そうめん、じゃがいも、トウモロコシ、人参、山芋

<低GI食品:GI値55以下>
玄米、全粒粉パン、そば、大豆、葉野菜、りんご、いちご、バナナ、肉類、魚類、卵、チーズ、ヨーグルト